グラニュフィリンは、“閉じた”状態のSyntaxinやMunc18と結合することが報告されている。SyntaxinとMunc18の組換えタンパク質をビーズ上に固相化後、グラニュフィリンとの結合を検討したところ、それぞれ単独よりもSytaxin/Munc18複合体が、グラニュフィリンと強く結合した。このことは、Sytaxin/Munc18複合体が細胞膜でグラニュフィリンの受容体として働いていることを示唆している。 プライミング因子Munc13は、Sytaxinの立体構造を“閉じた”状態から“開いた”状態に遷移させると考えられている。そこでMunc13ファミリーに着目し、Munc13がグラニュフィリン遊離因子である可能性を、組換えタンパク質を使って検討した。ビーズ上に固相化したSytaxin/Munc18/グラニュフィリン複合体をMunc13タンパク質と反応させるとビーズ上に残存するグラニュフィリン量が減少した。このことから、Munc13によりSytaxin/Munc18/グラニュフィリン複合体からグラニュフィリンが遊離することが示唆された。引き続きSytaxin/Munc18/グラニュフィリン複合体のタンパク数比やMunc13との反応後の性状を明らかにするため、溶液系で反応をおこないゲル濾過法で解析を行っている。 Munc13のグラニュフィリン遊離因子としての可能性を生きた膵ベータ細胞で検討した。Munc13は、脱分極刺激後の細胞内カルシウムイオン濃度上昇に伴いドッキング顆粒に集積した。同時にグラニュフィリンがドッキング顆粒から遊離した。また、Munc13のC2ドメインに変異を入れると、グラニュフィリンの遊離は減弱した。さらに、Munc13ノックダウンにより細胞膜にドッキング顆粒が異常に集積した。これらの結果は、Munc13がグラニュフィリン遊離因子であることを示唆している。
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