研究課題
がん治療成績が向上しつつある現在では、患者のQOL(Quality of Life)を高めるため多くの試みが行われている。放射線治療は患者QOLを高く維持することが可能であるが、正常組織への影響を抑えたさらなる治療法の開発が求められている。脳腫瘍に対しては放射線治療が多く試みられているが、高いQOLを維持した治療法の確立は未だ困難である。本研究では脳腫瘍に対する放射線治療後の放射線障害(副作用)として挙げられる放射線脳壊死(ネクローシス)およびアポトーシスの誘導について、神経幹細胞と脳腫瘍細胞(グリオブラストーマ)を比較検討した。さらに放射線誘発バイスタンダー効果による影響を検討した。本研究では神経幹細胞または脳腫瘍細胞に対してX線を照射し、Acridine Orange及びEthidium Bromideの二重染色によってネクローシス細胞の割合を測定した。アポトーシス細胞については、上記二重染色に加え、アポトーシスの典型的な形態変化である核の凝集も指標として測定した。本実験により、神経幹細胞はアポトーシスにより細胞死が生じていることが明らかになった。一方で、脳腫瘍細胞はアポトーシスに対して抵抗性であることが明らかになった。また神経幹細胞では、アポトーシスの誘導に必要なp53 Ser15のリン酸化が亢進していた。p53をリン酸化するATMの活性化レベルも脳腫瘍細胞において亢進が認められた。さらにバイスタンダー効果について解析した結果、神経幹細胞と脳腫瘍細胞の場合、X線誘発の細胞死に関しては多くは直接効果によると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Jornal of Radiation Research
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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