研究課題
研究活動スタート支援
1. in vivoにおけるGFI1によるTh9細胞の分化制御の関与の解明これまでIL-9産生が報告されているin vivoモデル (1) オバアルブミン(ova)惹起による気道炎症モデル(Nature Immunology. 13: 981-990, 2012) (Immunity. 38: 360-372, 2013)、(2)アスペルギウス惹起による気道炎症モデル(Journal of Allergy and Clinical Immunology. 131: 1048-1057, 2013)、(3)パパイン惹起による気道炎症モデル(Nature Immunology. 12: 1071-1077, 2011)を行った。しかしながら、どのモデルも現在のところ,満足する結果は得られていない。例えば、アスペルギウス惹起による気道炎症モデルでは、IL-9産生T細胞は確認できたが、抗原投与群とコントロールであるPBS投与群で有意は見られなかった。また、パパイン惹起による気道炎症モデルでも、IL-13産生の優位な上昇は確認できたが、IL-9産生に関しては有意な差は確認できなかった。しかし、これまで行ってきたin vivoでのCD4陽性細胞からのIL-9産生の検出方法よりも、適切な方法がある可能性がわかったので、現在、継続して条件検討を行っている。2. GFI1のIL-9産生抑制メカニズムの解明GFI1欠損細胞と正常細胞を共培養することによって、GFI1欠損によるIL-9産生増強がcell intrinsicであることがわかった。また、PU.1の有無にかかわらず、GFI1欠損細胞のIL-9産生増強が確認されたことから、GFI1によるIL-9産生抑制作用は、PU.1とは無関係である可能性が高いことがわかった。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の実験計画は大きく分けて2つあり、1つは「GFI1のIL-9産生抑制メカニズムの解明」、そして、もう一つは「in vivoにおけるGFI1によるTh9細胞の分化制御の関与の解明」である。前者について、GFI1/PU.1ダブルKOマウスが作製できたので、平成26年度に予定していたGFI1欠損によるIL-9産生増強とPU.1の関連についての実験を前倒しにして行った。GFI1fl/fl PU.1fl/fl CD4-Creトランスジェニックマウスを用いて作製したPU.1/GFI1ダブル欠損Th9細胞は、GFI1欠損Th9細胞と遜色の無くIL-9産生を示したことから、PU.1がGFI1欠損によるIL-9産生増強に関与しないことが明らかとなった。また、GFI1欠損によるIL-9産生増強がcell intrinsicであることも証明することができた。次に、後者の「in vivoにおけるGFI1によるTh9細胞の分化制御の関与の解明」について、これまでIL-9産生が報告されているin vivoモデル、(1)オバアルブミン(ova)惹起による気道炎症モデル、(2)アスペルギウス惹起による気道炎症モデル、(3)パパイン惹起による気道炎症モデルを行ったが、in vivoにおいてTh9細胞の分化を誘導させることができなかった。しかし、アスペルギウス惹起による気道炎症モデルを報告した著者(Dr. Akbari)とディスカッションし、in vivoでのTh9細胞分化を証明する正確な方法を教わることができた。これまで、in vivoでのTh9細胞を分化誘導することができていなかったのではなく、その検出方法が適切でなかった可能性が指摘され、現在、新しく教わった方法で、in vivoで分化誘導したTh9細胞の存在の検証を行っている。
In vivoにおけるTh9細胞の検出については、これまで3種類の動物モデルを用いて、肺組織から単離したCD4陽性細胞をPMA+inomycinで再刺激することで、IL-9産生の有無により、Th9細胞数および割合を算出していた。しかし、この方法では、IL-9産生を指標にしてTh9細胞を正確に検出できない可能性を指摘された。彼らの方法は、PMA+inomycinで再刺激するのではなく、抗原を用いて再刺激することであった。そこで、ovaを認識するTCRを持つOTII TgマウスとGFI1欠損マウスを交配して、OTII Tg GFI1fl/fl CD4-Creマウスの作製を開始した。動物モデルを再構築し、このマウスから単離したCD4陽性細胞をovaペプチドで再刺激することで、Th9細胞の算出を再度行う。もし、IL-9産生を検出できた場合、なぜ、PMA+inomycinで再刺激した場合と抗原で再刺激した場合とで、IL-9産生に違いがあるのかについても調査したいと考えている。GFI1のIL-9産生抑制メカニズムの解明において、GFI1が直接IL-9産生を制御しているのか明らかにするため、計画書に沿って、抗GFI1抗体を用いてIL-9遺伝子領域に対してChIP assayを行う。また、TGFβがどのようにして、IL-9産生を制御しているのか解明するために、初めにsmadシグナルパスウェイに注目し、GFI1欠損マウスが与えるsmadシグナルの影響を調査する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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