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2013 年度 実績報告書

Th9細胞による炎症の遷延化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 25893033
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関千葉大学

研究代表者

八木 良二  千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (20392152)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワードTh9 / IL-9 / アレルギー / 炎症 / 遷延化 / T細胞 / 転写因子 / 免疫
研究概要

1. in vivoにおけるGFI1によるTh9細胞の分化制御の関与の解明
これまでIL-9産生が報告されているin vivoモデル (1) オバアルブミン(ova)惹起による気道炎症モデル(Nature Immunology. 13: 981-990, 2012) (Immunity. 38: 360-372, 2013)、(2)アスペルギウス惹起による気道炎症モデル(Journal of Allergy and Clinical Immunology. 131: 1048-1057, 2013)、(3)パパイン惹起による気道炎症モデル(Nature Immunology. 12: 1071-1077, 2011)を行った。しかしながら、どのモデルも現在のところ,満足する結果は得られていない。例えば、アスペルギウス惹起による気道炎症モデルでは、IL-9産生T細胞は確認できたが、抗原投与群とコントロールであるPBS投与群で有意は見られなかった。また、パパイン惹起による気道炎症モデルでも、IL-13産生の優位な上昇は確認できたが、IL-9産生に関しては有意な差は確認できなかった。しかし、これまで行ってきたin vivoでのCD4陽性細胞からのIL-9産生の検出方法よりも、適切な方法がある可能性がわかったので、現在、継続して条件検討を行っている。
2. GFI1のIL-9産生抑制メカニズムの解明
GFI1欠損細胞と正常細胞を共培養することによって、GFI1欠損によるIL-9産生増強がcell intrinsicであることがわかった。また、PU.1の有無にかかわらず、GFI1欠損細胞のIL-9産生増強が確認されたことから、GFI1によるIL-9産生抑制作用は、PU.1とは無関係である可能性が高いことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の実験計画は大きく分けて2つあり、1つは「GFI1のIL-9産生抑制メカニズムの解明」、そして、もう一つは「in vivoにおけるGFI1によるTh9細胞の分化制御の関与の解明」である。前者について、GFI1/PU.1ダブルKOマウスが作製できたので、平成26年度に予定していたGFI1欠損によるIL-9産生増強とPU.1の関連についての実験を前倒しにして行った。GFI1fl/fl PU.1fl/fl CD4-Creトランスジェニックマウスを用いて作製したPU.1/GFI1ダブル欠損Th9細胞は、GFI1欠損Th9細胞と遜色の無くIL-9産生を示したことから、PU.1がGFI1欠損によるIL-9産生増強に関与しないことが明らかとなった。また、GFI1欠損によるIL-9産生増強がcell intrinsicであることも証明することができた。次に、後者の「in vivoにおけるGFI1によるTh9細胞の分化制御の関与の解明」について、これまでIL-9産生が報告されているin vivoモデル、(1)オバアルブミン(ova)惹起による気道炎症モデル、(2)アスペルギウス惹起による気道炎症モデル、(3)パパイン惹起による気道炎症モデルを行ったが、in vivoにおいてTh9細胞の分化を誘導させることができなかった。しかし、アスペルギウス惹起による気道炎症モデルを報告した著者(Dr. Akbari)とディスカッションし、in vivoでのTh9細胞分化を証明する正確な方法を教わることができた。これまで、in vivoでのTh9細胞を分化誘導することができていなかったのではなく、その検出方法が適切でなかった可能性が指摘され、現在、新しく教わった方法で、in vivoで分化誘導したTh9細胞の存在の検証を行っている。

今後の研究の推進方策

In vivoにおけるTh9細胞の検出については、これまで3種類の動物モデルを用いて、肺組織から単離したCD4陽性細胞をPMA+inomycinで再刺激することで、IL-9産生の有無により、Th9細胞数および割合を算出していた。しかし、この方法では、IL-9産生を指標にしてTh9細胞を正確に検出できない可能性を指摘された。彼らの方法は、PMA+inomycinで再刺激するのではなく、抗原を用いて再刺激することであった。そこで、ovaを認識するTCRを持つOTII TgマウスとGFI1欠損マウスを交配して、OTII Tg GFI1fl/fl CD4-Creマウスの作製を開始した。動物モデルを再構築し、このマウスから単離したCD4陽性細胞をovaペプチドで再刺激することで、Th9細胞の算出を再度行う。もし、IL-9産生を検出できた場合、なぜ、PMA+inomycinで再刺激した場合と抗原で再刺激した場合とで、IL-9産生に違いがあるのかについても調査したいと考えている。
GFI1のIL-9産生抑制メカニズムの解明において、GFI1が直接IL-9産生を制御しているのか明らかにするため、計画書に沿って、抗GFI1抗体を用いてIL-9遺伝子領域に対してChIP assayを行う。また、TGFβがどのようにして、IL-9産生を制御しているのか解明するために、初めにsmadシグナルパスウェイに注目し、GFI1欠損マウスが与えるsmadシグナルの影響を調査する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Pathogenic memory type Th2 cells in allergic inflammation.2014

    • 著者名/発表者名
      Endo, Y., Hirahara, K., Yagi, R., Tumes, D. J., and Nakayama, T.
    • 雑誌名

      Trends Immunol.

      巻: 35 ページ: 69-78

    • DOI

      10.1016/j.it.2013.11.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The transcription factor GATA3 is critical for the development of all IL-7Rα-expressing innate lymphoid cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Yagi, R., Zhong, C., Northrup, D. L., Yu, F., Bouladoux, N., Spencer, S., Hu, G., Barron, L., Sharma, S., Nakayama, T., Belkaid, Y., Zhao, K., and Zhu, J.
    • 雑誌名

      Immunity

      巻: 40 ページ: 378-388

    • DOI

      10.1016/j.immuni.2014.01.012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gata3/Ruvbl2 complex regulates T helper 2 cell proliferation via repression of Cdkn2c expression.2013

    • 著者名/発表者名
      Hosokawa, H., Tanaka, T., Kato, M., Shinoda, K., Tohyama, H., Hanazawa, A., Tamaki, Y., Hirahara, K., Yagi, R., Sakikawa, I., Morita, A., Nagira, M., Poyurovsky, V. M., Suzuki, Y., Motohashi, S., and Nakayama, T.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 110 ページ: 18626-18631

    • DOI

      10.1073/pnas.1311100110

    • 査読あり
  • [学会発表] Roles of Th2 differentiation-related transcription factors, GATA3, STAT5 and Runx3 in Th9 differentiation2013

    • 著者名/発表者名
      八木良二
    • 学会等名
      日本免疫学会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉市)
    • 年月日
      20131211-20131213

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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