細胞は特定のストレス刺激に応答して、細胞質内にストレス顆粒と呼ばれる一過性の構造体を形成する。細胞はストレス顆粒を形成することで蛋白質の翻訳を一時的に停止させ、またストレス顆粒内に細胞死促進因子を取り込みその機能を阻害することで、ストレス環境下での細胞の生存を促進する。 申請者は神経変性疾患の病態において、細胞内で観察される複合的なストレス環境(小胞体ストレスと酸化ストレス)では、ストレス顆粒の形成が抑制されていることを見出し、その分子メカニズムの解析を行った。さらに、病態モデル細胞株を用いた実験から、このようなストレス顆粒形成の抑制が、神経変性疾患の神経細胞死を促進させることを明らかにした。
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