研究課題/領域番号 |
25893043
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武田 憲文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60436483)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 心筋細胞 / 分裂能 / 細胞周期 |
研究概要 |
本研究では、僅かな分裂能を保持・獲得した成獣心筋細胞の特性を明らかとし、その分裂能の増幅を試みることで、安全で効率的な心筋再生戦略を構築することを目指す。従来、この増殖能を保持・獲得した心筋細胞を同定・単離することは極めて困難であった。本課題では、心筋細胞で細胞周期依存性に異なる蛍光(fucci)を発する系を構築し、時空間的及び各病態別に、増殖期の心筋細胞を単離してその特性を明らかとし、内因性の心筋再生の鍵となる遺伝子・創薬ターゲットを決定し、その制御方法を考案することを目的とする。 本研究では、前述した目的を達成するために、心筋細胞特異的に、細胞周期依存的な蛍光プローブ(Fucci)を発色する2つの評価系(in vivo及びin vitro)を新たに構築中であり、非静止期(M/G2/S期)にある心筋細胞を可視化・抽出して解析を試みている段階である。発生期~新生児心筋細胞、 成獣静止期心筋細胞、成獣分裂期心筋細胞を抽出し、発現プロファイル(遺伝子発現、miRNA)やエピゲノム(DNAメチル化やヒストン修飾の状態)について、マイクロアレイ解析等で網羅的かつ有事には個別に比較検討することで、分裂能を保持・獲得した成獣心筋細胞に特異的なシグナル伝達経路や遺伝子発現を明らかとしたい。 さらに、心筋障害後(圧負荷や心筋梗塞等)に増加する分裂期心筋細胞を同様に抽出して解析することで、生理的(前記)および病的条件下でのシグナル伝達や遺伝子発現の相同性や特異性の有無を検証し、内因性心筋増殖(再生)の鍵となる遺伝子・創薬ターゲットなどを決定したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、心筋細胞特異的に、細胞周期依存的な蛍光プローブ(Fucci)を発色する2つの評価系の構築に着手しており、in vivo評価系については、Cre-loxPシステムを用いたマウス(αMHC-Cre/+;R26R-fucci2)を作成中(交配中)である。またin vitro評価系では、心筋細胞特異的にFucciを発色するアデノウイルスベクターを作成済みであり、さらに細胞解析装置InCellAnalyzerを用いた、従来の心筋細胞増殖を評価する系(EdU取り込み、phospho-histone H3を指標)の構築も完了している。これらの評価系を用いて、増殖期心筋細胞の特性を順次解析を行っている段階にあり、さらに、心筋細胞の増殖を促す薬剤のスクリーニングにも着手しており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿った研究を推進するとともに、心筋細胞の増殖を促す薬剤を選別し、その実用性についても検討する。
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