研究課題/領域番号 |
25893046
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三橋 弘明 東京大学, 生命科学ネットワーク, 特任助教 (20466220)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝性疾患 / 筋ジストロフィー / 分子生物学 / 転写制御 / 転写因子 |
研究概要 |
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は最も患者数の多い型の筋ジストロフィーの1つであるが、長らくその原因遺伝子はわかっていなかった。近年、FSHD患者筋でDUX4遺伝子が高頻度に発現していることが明らかとなり、原因遺伝子候補として注目を集めている。DUX4がコードするDUX4-flは転写因子タンパク質であり、申請者は動物モデルを用いこれまでにDUX4-flがDNA結合ドメイン依存的に細胞毒性を示すこと、細胞毒性にはDUX4-flのC末端領域が不可欠であることを明らかにしてきた。本研究では、DUX4-flのC末端領域に結合するDUX4-fl結合タンパク質を同定し、転写活性化機構を解明することを目的としている。 本年度は、DUX4転写活性と細胞毒性の関係を詳細に明らかにするため、DUX4 cDNAクローンを分子生物学的に改変し、様々な欠失変異体を作製してタンパク質ドメイン構造と転写活性、細胞毒性との相関を検討した。その結果、C末端領域のうちある特定の領域が転写活性を促進する役割を担っていることを突き止めた。また、DUX4の転写活性と細胞毒性はおおむね正の相関を示すことが明らかとなった。さらに、DUX4の細胞内局在も細胞毒性に影響することを示唆する結果を得た。これらの結果を基に、次年度は転写活性を調節する因子について探索をおこなう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DUX4の転写活性を測定するヒト培養細胞を用いた実験系を構築した。その系を用いてDUX4の転写活性化を担うC末端領域について特定の領域に範囲をしぼることができた。この発見は新規なもので今後の研究を進める上で重要な手がかりとなったが、予想よりも狭い範囲であったため、その特定に予定よりも多くの時間を要した。また、DUX4の細胞毒性を測定する実験系を確立した。この両方の実験より、DUX4の転写活性と細胞毒性についての相関を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に特定した領域をbaitとし、DUX4に結合するタンパク質を探索する。同定したタンパク質がDUX4依存性の細胞毒性に与える影響を検討するため、前年度に確立した細胞毒性測定系に結合タンパク質のRNAiを作用させて評価をおこなう。また同様に、結合タンパク質がDUX4の転写活性に与える影響の検討もおこなう。具体的には結合タンパク質のRNAi、および過剰発現を用い、前年度確立した転写活性測定系を用いた検証をおこなう。さらに、FSHDの治療に向けた基礎的データを示すため、同定した結合タンパク質やDUX4のC末端領域を阻害するような物質を作用させ、細胞毒性をどの程度軽減させることができるかについても検討する。
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