研究概要 |
染色体転座(46XY, +1, der(1;7)(q10;p10))を有するCMMoL 患者からエピゾーマルベクターを用いてOCT3/4、SOX2、KLF4、L-MYC、LIN28、p53-shRNAを導入し、CMMoL患者由来のiPS細胞(CMMoL-iPS)を樹立した。CMMoL-iPS細胞をiPS-Sac法で血球へ分化誘導し、造血幹・前駆細胞のCD34陽性CD43 陽性細胞を用いて、半固形培地にてコロニー形成能を評価した。CMMoL-iPS細胞由来血球はNormal-iPS細胞由来血球と比較して、多数のサイズの大きい造血コロニーを形成した。さらに、CMMoL-iPS由来造血コロニーは多数の単芽球により構成されていた。表面マーカー解析を行った結果、CMMoL-iPS由来造血コロニーではCD34+の幹・前駆細胞、CD13+の骨髄系細胞の増加を認めた。特にCD13+細胞の中でもCD14+の単球系細胞および CD14-CD24+の未熟な顆粒球系細胞の増加を認めた。末梢血におけるCD14-CD24+細胞の増加はCMMoLに特徴的な所見であった。半固形培地を用いてcolony replating assayを行った結果、3継代目以降ほとんどコロニー形成が認められなかったが、CMMoL-iPS細胞由来血球は4継代目以降も多数の造血コロニーを産生した。さらに、サイトカインを含まない半固形培地にてコロニー形成能を評価した結果、Normal-iPS細胞由来血球はほとんどコロニー形成不可能であったが、CMMoL-iPS細胞由来血球は多数の自発的コロニー形成を認めた。これらの結果は、CMMoL-iPS細胞由来血球が元のCMMoL細胞の白血化能を反映していることを示していると考えられた。以上より、世界初のCMMoLヒト疾患モデルが作製できた。
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