研究課題
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約30%程度が急性骨髄性白血病に進展する骨髄異形成症候群では、近年の網羅的ゲノム解析により、DNAメチル化制御分子であるDNMT3A、TET2や、ポリコーム複合体を含むヒストン修飾制御分子であるEZH2、ASXL1などのエピジェネティクス制御機構の遺伝子変異が高頻度に認められることが報告されている。ポリコーム複合体を含むヒストン修飾制御分子の遺伝子変異や欠失により、ヒストン修飾が変化することによる標的遺伝子の発現異常が、骨髄異形成症候群やそこから進展する急性骨髄性白血病の病態に関与していることが想定される。我々は、複数の骨髄異形成症候群および骨髄異形成症候群から移行した急性骨髄性白血病の細胞株を用いて、ヒストン修飾制御分子に遺伝子変異や欠失および発現異常があるかどうかを検証している。また、骨髄異形成症候群から移行した急性骨髄性白血病の細胞株を用いて、転写活性化マーカーであるトリメチル化ヒストンH3K4、転写抑制マーカーであるトリメチル化H3K27およびモノユビキチン化ヒストンH2Aの抗体を用いて、マグネットビーズによるクロマチン免疫沈降を行い、細胞数や抗体量などの最適な条件を検証して、系の構築を試みている。これをもとに、クロマチン免疫沈降シークエンスと全トランスクリプトームシークエンスを行い、ヒストン修飾により制御されている標的遺伝子を同定する予定である。また、現在、骨髄異形成症候群やそこから進展した急性骨髄性白血病の症例から、今後の解析に用いるための臨床検体として、骨髄や末梢血を採取し保存を行っている。
2: おおむね順調に進展している
計画通り研究が進展している。
細胞株を用いたクロマチン免疫沈降シークエンスと全トランスクリプトームシークエンスの実験系を確立し、ヒストン修飾制御による標的遺伝子を網羅的に解析する。また、臨床検体を用いて、同様な解析を行うことで、骨髄異形成症候群の病態の新局面を明らかにする予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件)
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