研究概要 |
ペア型免疫受容体の特徴は、細胞外領域の構造が類似するが細胞内領域の構造の違いから正反対の機能を持つ(活性化型および抑制型)受容体が対を形成することである。 Leukocyte mono-immunoglobulin-like receptor (LMIR)/CD300(別名MAIR/CLM/IREM)は細胞外領域に1個の免疫グロブリン様構造をもつペア型免疫受容体ファミリーであり、主にミエロイド系細胞に発現する。マウスでは8種類のLMIR(LMIR1とLMIR3は抑制型受容体、他のLMIRは活性化型受容体)が11番染色体に連座するが、それに対応するヒトLMIRは6種類であり17番染色体に存在する。 研究代表者のグループは、LMIR3ノックアウトマウスではFcεRIが関与するアレルギー反応(アナフィラキシー,気道炎症など)が増悪すること、マウスLMIR3/CD300fがリガンドとして脂質セラミドを認識すること、マスト細胞のLMIR3と細胞外脂質セラミドの結合が高親和性IgE受容体(FcεRI)の活性化を抑制することを証明している(Izawa et al, Immunity, 2012)。 ヒトLMIR3/CD300Fは、マウスLMIR3と同様に、細胞外領域に1個の免疫グロブリン様構造と細胞内領域に2個のITSMと1個のITSMを有しミエロイド系細胞において抑制型受容体として機能することは想定されているが(Alvarez-Erricoet al, J Immunol, 2007)、生理的な機能はほとんど解明されていなかった。研究代表者のグループは、マウスとヒトのLMIR3の細胞外領域の相同性が約55%と高いことに注目し、ヒトLMIR3/CD300Fのリガンドを同定し、その生体内機能を明らかにすることを目的とする。
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