今後の研究の推進方策 |
動物モデルではラット頸動脈のバルーン擦過モデルを用いて、血管障害後の細胞増殖、白血球の浸潤、炎症性サイトカインの発現、内膜肥厚の形成などについてレゾルビンDやプロテクチンDの効果を検討する。また、治療群の薬剤(100ng, 1μg, 10μg)投与は外側尾静脈より術直後から術後7日目までの間に行い、生食を静脈内投与したものを対照群とする。今後予定として急性期の評価としては、擦過後3日目の新鮮凍結切片を用いて①細胞増殖、②白血球の浸潤、③組織標本を用いて炎症性サイトカインや細胞接着因子の発現などを評価する。④遠隔期の評価として、擦過後14, 21日目のホルマリン潅流固定標本を用いて内膜肥厚の形態学的評価を行う。①細胞増殖:細胞周期を関連タンパクであるKi67による免疫染色により評価する。②白血球の浸潤:白血球共通抗原であるCD45による免疫染色を用いて中膜への白血球浸潤を評価する。③炎症性サイトカインの発現:擦過3日目の標本を用いて免疫染色やqPCRなどにより炎症性サイトカインや細胞接着因子の発現を検討する。④新生内膜肥厚:擦過後14, 21日目のホルマリン潅流固定標本を用いてelastica van gieson染色を行い、内膜肥厚の程度を観察する。その形態学的指標として、内膜/中膜面積比(intima/media ratio: I/M ratio)を用いる。 培養細胞を用いた実験では、ラット大動脈の平滑筋細胞を用いる。薬剤によって細胞の増殖や遊走が抑制されるかを検討する。細胞増殖に関してはAlamar blueを用いproliferation assayを、また遊走に関しては8μmの有孔性のtranswell を用いたmigration assayで評価する。その他、血管平滑筋細胞の活性酸素の産生、炎症性サイトカインの発現などに対する薬剤の効果を検討する。
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