研究課題/領域番号 |
25893055
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西嶌 大宣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50704938)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | アレルギー / 耳鼻咽喉科学 / アレルギー性鼻炎 / 後鼻神経切断術 |
研究概要 |
後鼻神経切断術のモデル動物作成し、鼻アレルギーにおける神経制御の果たす役割を検討した。まず後鼻神経切断術モデル動物の作成として、ラットを用いて経眼窩的に翼口蓋窩より後鼻神経を選択的に切断する方法を確立させた。この後鼻神経切断により神経切断側の鼻腔呼吸上皮において神経線維と神経ペプチドの消失が確認された。神経線維と様々な神経ペプチドが後鼻神経切断により消失した結果から、後鼻神経の神経支配はラットの鼻腔呼吸上皮において広範囲にわたり、神経線維として交感神経線維、副交感神経繊維、知覚神経線維が含まれていることが示唆された。また後鼻神経切断側の鼻腔の呼吸上皮における腺組織の萎縮も確認され、鼻腔の乾燥が示唆された。後鼻神経切断後の組織の経時的な変化としては切断後半年で神経が上皮下に再発現してきているのが確認された。 次にアレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断の影響を検討するために、アレルギー性鼻炎モデルの作成としてラットをオボアルブミンを用いて感作を行った。このアレルギーモデルラットではくしゃみなどのアレルギー性鼻炎症状の増悪と粘膜に好酸球や肥満細胞の浸潤が確認された。 これらの知見は、日常診療では行われているがエビデンスの少ないヒトに対する後鼻神経切断術の病態を解明するのに臨床的な意義が大きい。またヒトの場合も手術後の症状の再燃が認められていることから、今回認められた神経の再発現と関連していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年後の目標は①後鼻神経切断術のモデルラットを作成し、それによる組織・行動の変化を観察すること、②アレルギーモデルラットを確立させることであった。これまでの研究で①後鼻神経切断により組織と行動実験の変化の知見を得ていること、②オボアルブミン感作によるアレルギーモデルラットの作成を確立していることから研究目標はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
アレルギーモデルラットに対して後鼻神経切断術が及ぼす影響を検討する。行動実験の検討とともに組織の変化の検討を行う。また後鼻神経の再生を防ぐ方法を検討する。 その他、化学的神経切断術としてもボツリヌストキシン点鼻ががアレルギー性鼻炎モデルラットに対してに効果があるのか、後鼻神経切断術と同様の変化をもたらすのかを検討する。
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