本研究は、成人口唇口蓋裂(CLP)患者における長期的構音障害と聴覚認知様式との関係を調べること、さらに、脳活動について機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて検討することを目的とした。構音障害をもつ成人CLP患者4名を被験者とし異常構音ならびに正常構音聴取時の正答率と同時にfMRIデータを採得しその際の脳賦活パタンを評価した。その結果、成人期まで構音障害を認めるCLP患者は、異常構音の認知様式が健常者や言語治療を経験したCLP患者と異なること、またそのような患者では音声認知に関与する脳部位の活動が低いことが示唆された。従って聴覚認知の観点からもCLP患者への言語治療の重要性が示唆された。
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