研究課題/領域番号 |
25893081
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
飯田 宗穂 金沢大学, 医学系, 助教 (40705604)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 肝発癌 |
研究概要 |
腸内細菌が新たな肝発癌促進因子であることが動物モデルで提案されている。例えば、ジエチルニトロサミンと四塩化炭素による肝発癌モデルでは、無菌マウスにおいて発生する肝癌の数が通常管理されたコントロールマウスに比べ減少することが報告されている。しかし、どのような腸内細菌が肝発癌を促進するかは明らかでなく、またヒトでの同様の報告は無い。そのため、肝癌合併症例67例、肝癌非合併慢性肝炎症例45例の便を採取し、腸内細菌叢の比較から発癌促進腸内細菌の同定を試みることとした。採便した症例からまず各群10例ずつを選択しDNAの抽出を行い保存した。採便の得られた症例の背景をまとめ、癌症例の再発と生存を追跡中ある。また、肝癌患者由来の便に発癌を促進する腸内細菌叢が存在するかどうかは介入実験にて実証が可能であると考え、ヒト便移植マウスの作成に取り掛かった。まず無菌アイソレータを用い無菌マウスの繁殖を開始した。これらの無菌マウスにヒト便を移植する条件設定(移植回数、便の品質、経口か経肛門か)をおこなった。ヒト便移植マウスにはマウス肝発癌モデルとしてDENの注入とCCl4注入を行うモデル用い、肝発癌を確認する。まずはSPFマウスでの当施設での発癌状況を確認するためSPFマウスでの実験を開始した。結果、オスのマウスがメスよりも肝癌発生個数が多く、性差に注意しコントロールを置く必要性が判明した。少数のヒト便移植マウスに対して肝発癌の予備的実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝癌症例とコントロール症例の便の細菌叢を次世代シーケンシングにて網羅的に解析する計画については、順調に便の採取が進んでいる。採便を得られた症例の背景や便の品質を考慮しシーケンシングを行うべき症例を選択する。翌年度にシーケンシングを行えるだけの十分な症例数が集まっている。また、ヒト便の移植によるヒト化マウス作成についても、移植前の無菌マウス繁殖を開始しており順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
採便を得られた肝癌症例、肝癌非合併慢性肝疾患症例の背景と得られた便の品質を検討し、症例の選択を行い、次世代シーケンサを用いたシーケンシングを行う。肝癌特異的な腸内細菌叢のプロファイルについて解析を行う。 繁殖した無菌マウスは順次、ヒト便の移植を開始し、ヒト化マウスを作成する。ヒト化したマウスにはDENとCCl4を用いた肝発癌実験を行い、ドナーのヒト便の影響を検討する。
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