研究課題/領域番号 |
25893085
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
大橋 敏充 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (80707860)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | データ整理 / 検体収集 / PET-CT / 腫瘍免疫 |
研究概要 |
乳酸が炎症・免疫抑制と関連しているか明らかにするために、予備研究として、過去に当科で治療を行った患者のデータ解析および手術標本の染色をおこなった。 まず、腫瘍微小環境での乳酸濃度の指標としてPET-CTにおけるSUVmaxと、炎症に関わる血液データ(CRP、白血球、白血球分画、アルブミン等)の関連を解析した。2008年1月~2013年3月までに当科を受診した頭頸部扁平上皮癌(口腔癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌)で、進行癌(Stage IIIもしくはIV)の患者で、当院にて病期診断目的にPET-CTを施行した方を対象とした。原発巣におけるSUVmaxに関して、高値群では白血球・好中球が有意に高値であり、リンパ球が有意に低値であった。また、原発巣におけるSUVmaxと、白血球・好中球・リンパ球とはそれぞれ相関関係を認めた。しかし、転移リンパ節におけるSUVmaxに関しては、そのような傾向は認めなかった。原発巣のSUVmaxと全身の炎症状態に関連性があることが示させた。つまり、乳酸と炎症・免疫が関連する可能性があると予想できた。その結果は、第38回日本頭頸部癌学会で報告する予定である。 さらに、乳酸と腫瘍微小環境における免疫状態の関連を評価する予備研究として、現在SUVmaxと腫瘍浸潤免疫細胞の評価を行っている。前治療(導入化学療法・放射線治療など)を行わず手術を行った患者の手術標本を用いて、腫瘍浸潤した細胞障害性T細胞(CD8+)、マクロファージ(CD68+、CD163+)などの染色を行い、現在解析をしている。 また、凍結切片やmRNA、タンパク解析用の手術検体や、血液の保存、腫瘍における乳酸値の測定は継続しておこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腫瘍浸潤マクロファージには、腫瘍抑制的に作用するM1マクロファージと、腫瘍促進的に作用するM2マクロファージが知られており、パラフィン標本でそれらをわけて評価しようと思った。しかし、二重免疫染色、蛍光染色など評価方法を検討したが、明確にわけるのが難しかった。評価方法の検討に時間がかかってしまったのが、遅れている理由であると考える。 人事異動で当科の人員が減少したことにより、大学病院での臨床をしなければならない時間が増加した。研究に割り当てる時間が削減されたのも大きく影響していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
SUVmaxと手術標本(パラフィン標本)における腫瘍浸潤免疫細胞との関係性の評価は、乳酸が炎症・免疫抑制と関連しているかを明らかにするための予備研究と位置付けている。この結果が、最終目標に直結するわけではないので、パラフィン標本においてM1マクロファージ、M2マクロファージそれぞれを明確に分類することは断念する。現在、スクリーニングとして、細胞障害性T細胞(CD8+)、マクロファージ(CD68+、CD163+)の分析のみ行っている。 ある程度、凍結切片やmRNA、タンパク解析用の手術検体や、血液がストックされてきたので、これらの分析・評価を行っていきたいと考えている。それらを用いてM1マクロファージ、M2マクロファージの分析をはじめ、炎症・免疫抑制と腫瘍における乳酸がどのような関係性をもっているかを解明したい。 また、2014年4月から当科の人員も増加し、研究に割り当てられる時間も増えると予想される。
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