研究概要 |
2型糖尿病と診断されている症例の中には、自己免疫機序によるインスリン不足が成人になってから顕在化する緩徐発症自己免疫性糖尿病(LADA:Latent Autoimmune Diabetes in Adults)が一定数存在することが分かってきている。LADAの病因となる自己抗体は、いくつか報告されているが、膵β細胞に対する自己抗体である抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体(抗GAD抗体: Glutamic Acid Decarboxylase Antibody)の頻度が最も高く、診断や治療方針決定に応用されるようになっている。しかし、一般集団における抗GAD抗体陽性者の頻度や、追跡調査による糖尿病(すなわちLADA)発症のリスクについては米国からの一報を除きほとんど調べられていない。そこで、本研究は、2002年にベースライン調査を実施し、以後糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症を追跡している愛知県内某職域従業者のベースライン時保存血清を用いて抗GAD 抗体を測定することとした。ベースライン調査に参加した6,648名中、2011年末までの約10年間の追跡期間中に430名が糖尿病を発症した。また、6,648名中4,213名の血清保存を達成した。今年度、糖尿病発症者を含む全対象者の抗GAD抗体をamplified luminescence proximity homogeneous assay (AlphaLISA)を用いて測定し、測定結果を逐次データベース化した。
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