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2013 年度 実績報告書

乱用薬物として流通している合成カンナビノイドの化学構造と体内動態の相関解析

研究課題

研究課題/領域番号 25893089
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関名古屋大学

研究代表者

財津 桂  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30700546)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード法中毒 / 違法ドラッグ / 合成カンナビノイド / 分析化学
研究概要

本年度は1. 動物実験に使用する合成カンナビノイド標準品(MAM201)の有機化学的合成および2. 投与実験を実施した。有機化学的合成によって、投与実験に使用するMAM2201およびそのN-脱アルキル化体に相当する3-(4-methyl-1-naphthoyl)indoleを合成した。各化合物は、合成反応後、分取HPLCによる精製を行った。
合成したMAM2201を5 mg/kgでラット(n=3)に投与し、経時的に尿および血液試料等を採取した。得られたラット尿試料について、酵素加水分解を行った後、LC-Q-TOFMSによる分析を行ったところ、未変化体であるMAM2201及びそのN-脱アルキル化体である3-(4-methyl-1-naphthoyl)indoleは検出されなかった。そこで、尿中代謝物をLC-Q-TOFMSを用いて探索したところ、MAM2201脱フッ素化・水酸化体(M1)、MAM2201脱フッ素化・カルボン酸体(M2)、MAM2201モノヒドロキシ体、MAM2201ジヒドロキシ体、M2モノヒドロキシ体、3-(4-methyl-1-naphthoyl)indoleモノヒドロキシ体と推定される代謝物が検出された。そこで、M1およびM2については、標準品による確認分析を実施したところ、M1およびM2は脱フッ素化・水酸化体およびそのカルボン酸体であることが確認された。よって、MAM2201の代謝経路として、脱フッ素化およびアルキル鎖末端の酸化的代謝が考えられた。また、推定代謝物から、ナフタレン環等の水酸化も進行するものと考えられる。さらに血液試料についてMAM2201の定量分析を実施したところ、MAM2201の血中濃度の経時変化は二相性を示し、MAM2201は体内への分布が速やかに進行するものと示唆された。これはMAM2201の高脂溶性によるものと推定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度、予定していた合成カンナビノイドの1つめの投与実験が終了し、その尿試料および血液試料の解析を進めている。現時点で、MAM2201投与ラットの尿試料のLC-Q-TOFMSによる分析から、MAM2201脱フッ素化・水酸化体(M1)、MAM2201脱フッ素化・カルボン酸体(M2)、MAM2201モノヒドロキシ体、MAM2201ジヒドロキシ体、M2モノヒドロキシ体、3-(4-methyl-1-naphthoyl)indoleモノヒドロキシ体と推定される代謝物を検出している。さらに、MAM2201投与ラットの血液試料の定量分析から、MAM2201が二相性を示すことも結果として得ている。今回のMAM2201の解析結果を元に、今後の投与実験については省力化が可能であること、また、ラットの投与実験について習熟が進んでいることや、分析系の構築がすでに完了していることから、現時点では概ね順調に研究は遂行しているものと考える。

今後の研究の推進方策

平成26年度はMAM2201とは異なる構造の合成カンナビノイド(JWH-018, AM2201,AM1220など)をラットに投与し、その尿試料等を採取する予定である。本年度のMAM2201の投与実験の際に、投与量や試料採取時間等の最適化したことで、今後の動物実験を省力化できることから、動物実験がよりスムーズに進行できるものと考えられる。
来年度は異なる構造の合成カンナビノイドを投与し、主にその尿試料を採取する。その尿試料について、LC-Q-TOFMSによる代謝物の構造推定を行う予定である。構造推定には精密質量測定によるプロダクトイオンスペクトルを使用し、構造のアサインメントを行う。
各合成カンナビノイドに対して、得られた推定代謝物を当て込み、親化合物の化学構造と代謝経路の相関について解析を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 合成カンナビノイドMAM2201のラット尿中代謝物の分析2014

    • 著者名/発表者名
      久恒一晃、財津 桂、中山 浩、林 由美、松本智寛、石場 厚、肥田宗政、土橋 均、石井 晃.
    • 学会等名
      日本法中毒学会
    • 発表場所
      名古屋大学、名古屋市
    • 年月日
      2014-07-04 – 2014-07-05

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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