研究課題
心房細動の発生・維持に与える陳旧性心房梗塞の役割を解明し、新たな治療法を模索することを本研究の主題としている。前年度までの研究で、①ヒツジ心房上部を灌流する左洞結節動脈を結紮することで陳旧性心房梗塞を作成、心房細動が自然発生する心房梗塞誘発心房細動モデルの確立に成功している。②心房梗塞作成8日後に光学マッピングシステムを用いて細動中の興奮様式を観察すると、境界部領域(梗塞部位と健常部位の境界)に投錨する渦巻き型旋回興奮波と湧き出し興奮波によって細動が維持されていることが確認された。当年度は、1)細胞内Ca2+と活動電位の二重光学マッピング実験を施行し、境界部領域(梗塞部位と健常部位の境界)から発生する湧き出し興奮波が、心筋層内に局在する3次元の渦巻型旋回興奮波の表現系として観察されたものではないことを証明した(巣状興奮波であることを証明)。2)心房梗塞境界領域において、リアノジン受容体(心筋型:RYR2)内のドメイン連関障害の結果、リアノジン受容体からのCa2+漏出が引き起こされること、更に、悪性高熱の治療薬でもあるダントロレンが、リアノジン受容体内のドメイン連関障害を是正することで心房梗塞誘発心房細動を抑制することが示唆された。3)心房梗塞誘発心房細動を維持する機序の一つである渦巻き型旋回興奮波の停止を目指して、急性圧負荷心房細動モデルを作成し、同モデルにおいて観察される3次元渦巻き型興奮波に対する高周波通電の効果を判定した。2例で心房細動の停止が得られているが、今後より詳細な解析が必要であり、本研究で確立した心房梗塞誘発心房細動モデルの治療法としての適応の検討も必要である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件)
心電図
巻: 34(2) ページ: 82-87
Methods Inf Med.
巻: 53(4) ページ: 314-9
10.3414/ME13-02-0047