研究課題
卵巣癌は婦人科悪性腫瘍の中で最も予後不良な一つであり、我々は卵巣癌における新たな治療法を確立するため、卵巣癌に発現を認めるPleomorphic adenoma gene-like 2(PLAGL2)の機能解析を行った。PLAGL2はC2H2タイプのzinc finger transcriptional factorで、PLAGファミリーに属している。PLAG遺伝子の中には、腫瘍形成に関与するとの報告が見られるものなどもあるが、PLAGL2に関しては生物学的な役割はまだあまり知られていない。そこで、2種類のsiRNAを作成し、卵巣癌細胞株2種類(ES-2、HEY)を用い、PLAGL2抑制による形態変化を観察した。今までの研究でPLAGL2抑制により卵巣癌細胞株においてアクチンストレスファイバーの形成及びフォーカルアドヒージョンの形成を認め、細胞遊走能を優位に低下させることを報告した。そしてこの形態変化がRho GTPaseのRhoA、Rac1の変化によるものが強く示唆された。今回、マイクロアレイ解析を行ったところ、PLAGL2の抑制によりRacに特異的なGTPase結合タンパクであるChimerin1(CHN1)の発現が上昇することがわかった。そこでCHN1のshRNAおよび過剰発現株を作成し、ES-2細胞に遺伝子導入を行い実験を行った。まず、CHN1を過剰発現させることによりRac1の活性が抑制された。一方、CHN1の抑制によりRac1の活性は上昇した。何方においてもRhoAの活性には変化は見られなかった。次にCHN1、PLAGL2を同時に抑制し機能解析を行った。CHN1、PLAGL2同時抑制株においてはRac1の活性に変化は見られなかった。このことよりPLAGL2はCHN1を介してRac1の活性を調節していることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Carcinogenesis
巻: 35(9) ページ: 1993-2001
10.1093/carcin/bgu081