研究課題/領域番号 |
25893098
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
永井 雅人 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (60707199)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 罹患率 / 推移 / Age-period-cohort model |
研究概要 |
本研究課題は、1)1990 ~2010年の脳卒中罹患率を明らかにする事、2)罹患率の年次推移に与える時代効果・コホート効果を明らかにする事、3)将来の罹患率・罹患者数を推計し、年次推移を予測する事を目的としている。 初年度は滋賀県高島市で実施されている高島循環器疾患発症登録のデータを用い(登録期間中の人口:5万5千人前後で推移)、1990 ~2010年の脳卒中罹患率(初発)の推移を検討した。 期間中、3年毎に男女別の年齢調整脳卒中罹患率(/100,000人年)と95%信頼区間 (CI)をByar's 法にて算出した。年齢は2000年国勢調査の人口を用いて、直説法にて調整した。年齢階級は先行研究と同様に、<35歳、35-44歳、45-54歳、55-64歳、65-74歳、75-84歳、85歳以上とした。 結果、男性:1,224名、女性:1,083名の発症が観察された。脳卒中の年齢調整罹患率は、20年間で男女ともに半減した。 男性の年齢調整罹患率は、1990-1992年:265.6 (95%CI: 229.6-305.5)、1993-1995年:249.6 (216.3-286.6)、1996-1998年:187.2 (159.6-218.0)、1999-2001年:215.5 (186.9-247.1)、2002-2004年:143.1 (120.3-167.9)、2005-2007年:129.3 (108.4-152.8)、2008-2010年:124.5 (104.4-147.1)と有意に減少した(P for trend<0.001)。女性も同様にそれぞれ、185.8 (156.9-218.4)、207.1 (177.5-240.3)、179.6 (153.4-209.0)、183.8 (158.5-211.9)、127.4 (107.2-150.4)、89.6 (73.0-108.7)、102.2 (85.2-121.5)と有意に減少した (P for trend<0.001)。 以上より、初年度は日本人の脳卒中罹患率が引き続き減少傾向にあることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、1)1990 ~2010年の脳卒中罹患率を明らかにする事、2)罹患率の年次推移に与える時代効果・コホート効果を明らかにする事、3)将来の罹患率・罹患者数を推計し、年次推移を予測する事を目的としている。 初年度の目的は、滋賀県高島市で実施されている高島循環器疾患発症登録のデータを用い(登録期間中の人口:5万5千人前後で推移)、1990 ~2010年の脳卒中罹患率(初発)の推移を検討することであった。当初の計画通り、男女別の年齢調整脳卒中罹患率(/100,000人年)と95%信頼区間をByar's 法にて算出した。その結果、日本人の脳卒中罹患率は引き続き減少傾向にあることを明らかにした。 この成果は抄録としてまとめ、国際疫学会(2014年8月、アラスカ・アンカレッジ)に演題登録を行い、ポスター発表として受理された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、1)罹患率の年次推移に与える時代効果・コホート効果を明らかにする事、2)将来の罹患率・罹患者数を推計し、年次推移を予測する事を目的とする。 初年度の基礎解析を基に、Age-period-cohort model にて脳卒中罹患率の年次推移を検討する。Age-period-cohortmodel はアウトカムに影響を及ぼす効果を年齢効果・時代効果・コホート効果の三要素に分離して検討する方法である。罹患数がポアソン分布に従うと仮定すると、Age-period-cohort modelは次のような形で表わされる。 モデル式:log ηij=log Nij+μ+αi+βj+γk ηij:j 時点のi 年齢の期待値、Nij:j 時点のi 年齢の人年、μ:総平均効果、αi:i 年齢の年齢効果、βj:j 時点の時代効果、γk:k コホートのコホート効果 以上より、脳卒中罹患率の推移に与える年齢効果・時代効果・コホート効果の効果量が算出され、将来 (j 時点)の脳卒中の期待罹患率を推計することが可能となる。また、この期待罹患率に将来人口を乗じ、5 年ごとの脳卒中期待罹患者数を算出する。
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