研究実績の概要 |
哺乳類では、24時間周期の生理機能が、時計遺伝子の形成する概日時計の制御を受けており、我々はこれまで、膀胱にも概日時計が存在すること、またそれが日内排尿リズムに関与することを、ギャップジャンクション(GJ)構成蛋白であるコネキシン43(Cx43)に着目し、主に筋原性メカニズムの面から報告した。一方近年、Cx43はGJとして細胞間で情報伝達するだけでなく、細胞外へのヘミチャネルを形成し、ATP、PGE2などの分子を放出する経路となることが星状膠細胞などで報告されている。これらの分子は膀胱機能上重要な役割を有しており、本研究では、尿路上皮でもCx43がGJやヘミチャネルとしての機能を有するのか、また尿路上皮はどのように日内排尿リズムと関連するのかを検討し、夜間頻尿や夜尿症といった日内排尿リズムの破綻や未形成と考えられる病態のさらなる解明を目的とした。 我々はまず、細胞の時計を同調させるserum shock法にて、2種の不死化ヒト尿路上皮細胞(TRT-HU1,nhu-TERT)において、主要時計遺伝子、Cx43の発現に概日リズムがあることを確認した。次に、Cx43をノックダウンさせたTRT-HU1では、GJの機能が低下し、機械刺激によるATP放出量が有意に低下すること、一方Cx43を強制発現させたnhu-TERTではATP放出量が有意に上昇し、GJ/ヘミチャネル阻害剤で有意に低下する結果を得た。これらの結果から、尿路上皮のCx43が膀胱機能に与える影響をマウスを用いて進めている。
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