研究課題
本研究では、もやもや病感受性多型であるmysterin遺伝子のp.R4810K多型を有する家族性もやもや病患者より樹立した疾患iPS細胞を血管構成細胞に分化し、mysterin遺伝子およびp.R4810K多型がもやもや病の分子病態に果たす役割と予防医療のターゲット提示を目的とする。昨年度は、家族性もやもや病患者由来のiPS細胞を分化した血管内皮細胞およびmysterin R4810K変異体を強制発現した血管内皮培養細胞で血管形成能が低下することを証明し、血管内皮においてmysterin R4810Kが発現することがangiogenesisを阻害し、もやもや病の病態に重要な役割を果たすことを示唆した(Biochem Biophys Res Commun. 2013)。本年度は、mysterin R4810Kによるangiogenesis低下をin vivoで検討する目的で、血管内皮および平滑筋特異的mysterin R4810K相当変異体トランスジェニック(Tg)マウスの作成と低酸素曝露による脳血管angiogenesisの評価を行った。その結果、血管内皮特異的にmysterin R4757K(ヒトR4810Kに相当)を発現するTgマウスにおいては低酸素曝露による大脳皮質の毛細血管数の増加を認めなかったのに対して、血管内皮特異的野生型mysterin Tgマウス、血管平滑筋特異的mysterin R4757K Tgマウス、mysterin KOマウス、野生型マウスでは毛細血管数は増加した(論文投稿中)。この結果は、マウスモデルにおいて、in vitroでの結果と同様に、mysterin変異体の血管内皮発現がangiogenesisを抑制することを示している。本研究から、mysterin R4810K保有者はangiogenesisの低下を示すことがもやもや病の病態に関与することが示唆された。さらに、mysterin R4810K保有者は脳低酸素に対して感受性が高い可能性が示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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