研究課題/領域番号 |
25893109
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邊 裕之 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40710786)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 分子イメージング / 放射性医薬品 / SPECT / アルツハイマー病 |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)に特徴的な脳内病理学的変化のひとつである老人斑の沈着は、疾患特異性が高く、また臨床症状が現れる以前から始まることから、AD の早期診断における重要な標的分子となっている。これまでに、老人斑の主構成成分であるβアミロイドタンパク質(Aβ)に特異的結合性を示すpositron emission tomography(PET)用 Aβイメージングプローブの臨床研究が行われ、その有用性が報告されている。今後、いっそうの患者数の増加が予測されている AD の診断には、 PET に比べて汎用性の高い、single photon emission photography(SPECT)の利用が期待されているが、これまでに臨床的に実用化された化合物の報告はない。そこで本研究では、SPECT 核種の中でも汎用性に優れる 99mTcを標識核種に用いた、新規 SPECT 用 Aβイメージングプローブの開発を行った。本年度は、Aβとの結合部位にフェニルキノキサリンを、99mTcとの錯体形成部位にbis-amino-bis-thiol(BAT)を用いたプローブを設計合成した。得られた99mTc標識フェニルキノキサリンはインビトロ結合表か実験において、Aβ(1-42)凝集体に対して強い結合親和性を示した。さらに、正常マウスを用いた体内放射能分布実験において、投与早期の脳移行性とその後の速やかなクリアランスを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、これまで報告されていなかったフェニルキノキサリンを母核とした99mTc標識Aβイメージングプローブの開発に取り組んだ。その結果、化合物の合成に成功し、結合性評価および体内分布実験において良好な結果を示した。これらの結果を基に、本年度は更なる最適化研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果より、99mTc標識フェニルキノキサリンはAβイメージングプローブとしての基礎的性質を有していることが明らかとなった。今後、Aβとの結合部位にフェニルキノキサリンおよびすでに99mTc標識プローブとして報告しているベンゾフランを用いて、錯体形成部位とをつなぐリンカーの最適化を行い、高い脳移行性とAβ親和性を有するプローブ開発を行う予定である。また、最も有用なプローブとして選定した化合物に関しては、研究計画に従って、脳切片を用いたオートラジオグラフィー、モデルマウスを用いたSPECT撮像による評価を行う予定である。
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