研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)の脳内における特徴的病理学的変化のひとつである老人斑の沈着は、AD発症過程の最も初期段階よりはじまり、また疾患特異性が高いことから、その主構成成分であるβ-アミロイドタンパク質(Aβ)は、ADの早期診断法の開発における重要な標的分子となっている。これまでにいくつかのpositron emission tomography(PET)用Aβイメージングプローブの臨床応用が開始されているが、PETに比べ汎用性に優れるsingle photon emission computed tomography(SPECT)用Aβイメージングプローブの開発成功例はない。本研究は、SPECT用核種の中でも臨床汎用性に優れる99mTcを標識核種とする新規Aβイメージングプローブの開発を目的としている。 本年度は、2,5-ジフェニル-1,3,4-オキサジアゾールを母核とし、錯形成部位とのリンカー部位として三重結合を有する2-propineを用いたプローブの設計およびその評価を行った。その結果、本化合物はインビトロにおいてAβ凝集体に対する結合性を示すこと、および投与早期にマウス脳内へ移行することが明らかとなった。
|