研究課題/領域番号 |
25893110
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石原 佳知 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60709351)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 動体追尾 / 線量計算 / 4次元放射線治療 / 強度変調照射 / モンテカルロ法 |
研究概要 |
正常組織への線量を抑制し、腫瘍への高線量を確保する強度変調照射法は理想的な線量を投与可能であるが、呼吸性移動が大きな肺や腹部ではその限りではない。この欠点を補うため、腫瘍を動体追尾し強度変調照射を行う「動体追尾強度変調照射法」に対応した放射線治療装置が申請者の所属する研究室と三菱重工株式会社との共同研究により開発された。 本研究ではモンテカルロ法を用いた「動体追尾強度変調照射法」に対応した高精度四次元線量計算システムの開発を行う。 平成25年度はこれまでに構築した、(a)強度変調照射に対応した高精度四次元線量計算システム、および、(b)動体追尾照射法に対応した高精度四次元線量計算システム、この二つの機能を組合せ動体追尾強度変調照射に対応したシステムを構築した。(a)における可動コリメータ位置、および、(b)における腫瘍移動量をもとにビーム照射方向を追尾させた位置、この二つの情報に対して時間軸を統一しシミュレーション上で同期させる。これにより動体追尾強度変調照射法を再現した。 さらに、動体ファントムを用いて動体追尾強度変調照射を行い、フィルム測定にて特定の断面の線量を取得し、構築した動体追尾強度変調照射モデルと実測との比較検討を行った。その後、同条件にてシミュレーションを行い2.5%以内の精度で一致するモデルを構築した。モデル精度を向上させるため、シミュレーションにおける同期条件を適時調整しモデルの最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は申請書に記載した研究計画通り、(a)強度変調照射に対応した高精度四次元線量計算システム、および、(b)動体追尾照射法に対応した高精度四次元線量計算システム、この二つの機能を組合せ動体追尾強度変調照射に対応したシステムを構築した。 また、構築したシステムの精度検証を行い、臨床使用において十分な精度を担保していることを実証した。 そのため、現在の進捗状況は概ね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は構築したシステムを用いて「動体追尾強度変調照射法」における四次元線量計算手法の確立を行う。 まずはじめに、4DCTより各位相における腫瘍位置を算出し、腫瘍移動量に対応したビーム入射条件、および強度変調パターンの線源データを作成する。次に、各位相のCTを基準位相に非剛体レジストレーションを用い合わせこみ、基準位相へのベクトルマップを作成する。最後に、各位相に対して作成した線源データを用い、患者体内線量計算を行う。その後、作成したベクトルマップをもとに基準位相へ線量を合算し四次元線量分布を算出する。 線量合算に用いる位相数の違いによる線量計算結果を検証し、「動体追尾強度変調照射法」における四次元線量計算に最適な位相数を決定する。
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