昨年度より準備を進めていた,水素ガス接続可能人工呼吸器システムが完成した.当施設の倫理委員会へ申請し,承認を得られたため,肺移植後患者に対する水素ガス吸入の臨床試験を開始した.酸素濃度が70%未満で呼吸管理が可能となった肺移植直後の患者に対し,1.3%水素ガスを24時間吸入させ,臨床での水素ガス吸入が安全に施行可能であることを確認した.水素ガスの虚血再灌流傷害軽減効果については,現在症例とデータを蓄積中である. 水素による臓器保護効果のメカニズムを検討するため,水素ガスを用いた細胞培養実験系を確立し,Nrf2シグナルと中心とした,細胞内シグナルへの作用の検討を開始した.また細胞内でのROS発生の中心であるミトコンドリアに対する水素の反応を検討するため,細胞外リフラックスアナライザーを用いたミトコンドリア機能評価系を確立中である.さらにin vitro実験で得られた結果を検証するため,マウス肺門クランプ虚血再灌流傷害モデルを確立し,データを蓄積を開始した.
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