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2013 年度 実績報告書

歯肉上皮細胞に侵入した歯周病原性細菌の細胞内動態の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25893120
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関大阪大学

研究代表者

竹内 洋輝  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40572186)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード歯学
研究概要

歯周病菌Porphyromonas gingivalis は,歯周組織を構成する歯肉上皮細胞内に侵入することにより宿主免疫からの攻撃を回避している可能性がある.しかし,P. gingivalis の細胞侵入機構,細胞内で利用する細胞オルガネラ,細菌侵入に対する細胞応答,そして,感染後のP. gingivalis と細胞の運命に関しては,不明な点が多い.
そこで申請者は,初期エンドソームに含包されたP. gingivalis が,どのような制御機構で次のオルガネラへ輸送されるのか,宿主細胞因子に焦点を当て検討を加えた.その結果,P. gingivalis は歯肉上皮細胞に侵入後,初期エンドソームに存在し,宿主細胞内の輸送小胞の融合に関わるとされるSNARE タンパク質の1 つである,VAMP2 と共局在を示すことを確認した.また,歯肉上皮細胞のVAMP2 の発現をノックダウンさせると,コントロール群と比較し,細胞内に存在する P. gingivalis の生存菌数が増加した.さらに,VAMP2 をノックダウンさせた歯肉上皮細胞では,コントロール群と比較し,感染後期においてもP. gingivalis と初期エンドソームとの共局在が多く認められた.
これらの結果より,P. gingivalis の初期エンドソームから次のオルガネラへの輸送に,VAMP2 が関与する可能性が示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

<達成度分析>短期目標は,P. gingivalis の初期エンドソームからリサイクリングエンドソームへの移動に関与する,宿主細胞因子の同定である.これまで,初期エンドソームに存在する歯周病菌と宿主細胞のSNARE タンパク質との関連解析は,ほとんど行われていない.しかし,本研究計画の初年度にP. gingivalis の細胞内動態に関与するSNARE 分子の候補が同定できた.
長期目標は,P. gingivalis が歯肉上皮細胞内で生存するために利用している宿主細胞因子を明らかにすることである.P. gingivalis がライソゾームの消化酵素の輸送を阻害している可能性を調べるため,加水分解酵素としてゴルジ体からライソゾームへと輸送されるカテプシンや,その輸送体であるMannose 6-phosphate Receptor (M6PR) ,ライソゾームの酸性化を制御しているV-ATPase の局在につき,共焦点顕微鏡で確認中である.
<原因・目標分析>初年度の目標は,本研究課題の達成のために必要であり,困難度も適切であった.
<課題検討>今回の目標管理を通じ,歯肉上皮細胞に侵入したP. gingivalis と共局在を示す新規のSNARE タンパク質を確認した.また,細胞内小胞輸送には,膜融合を誘導する低分子量GTP 結合タンパク質であるRabタンパク質が重要な役割を果たす.初年度の研究により,歯肉上皮細胞内のP. gingivalis と共局在を示すRab タンパク質の網羅的な解析を開始することができた.この結果は,本研究課題を別のアプローチから遂行するために重要である.

今後の研究の推進方策

SNARE タンパク質は哺乳類に少なくとも38 個あり,N 末端側に60~70 アミノ酸からなるSNARE ドメインを有し,小胞体,ゴルジ体,分泌小胞,エンドソーム,リソソーム,細胞膜などの間のほとんどの膜融合を仲介することが知られている.片側の膜には中心部にグルタミンを含むQ-SNARE が3 つ,もう一方の膜には中心部にアルギニンを含むR-SNARE が1 つ,合わせて4 つのSNARE ドメインが4 本束の複合体を形成すると膜融合が誘導される.これまで,P. gingivalis と共局在を示すVAMP2 がどのような細胞内オルガネラと癒合するか,またどのようなQ-SNARE タンパク質と結合しSNARE 複合体として機能するか,明らかにされていない.
次年度は,初年度に同定した宿主細胞の候補因子につき,タグ蛋白質との融合タンパク質を作製し歯肉上皮細胞に発現させることで,SNARE 複合体を形成する3 つのQ-SNARE を同定する.さらに,リサイクリングエンドソームに存在するP. gingivalis の輸送には,SNARE タンパク質以外の分子が関与する可能性がある.そこで,特にVAMP2 と共局在を示すRab タンパク質および膜融合に必要なテザリングタンパク質のスクリーニングを行い,細胞外に脱出するP. gingivalis に影響するタンパク質候補を明らかにする.これらの結果を合わせ,P. gingivalis が歯肉上皮細胞内で生存するために利用している宿主細胞のタンパク質を明らかにする.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Transcellular invasive mechanisms of Porphyromonas gingivalis in host-parasite interactions.2014

    • 著者名/発表者名
      Amano A, Kuboniwa M, Takeuchi H.
    • 雑誌名

      Journal of Oral Biosciences

      巻: 56 ページ: in press

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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