歯周病菌Porphyromonas ginigvalis は、歯周組織を構成する歯肉上皮細胞内に侵入することにより、宿主免疫からの攻撃を回避している可能性がある。しかし、P. gingivalis の細胞侵入機構、細胞内で利用する細胞オルガネラ、細菌侵入に対する細胞応答、そして感染後のP. gingivalis の転機に関しては不明な点が多い。 申請者は、平成25年度に引き続き、初期エンドソームへ輸送されたP. gingivalis がどのような機構で次のオルガネラに輸送されるのか、宿主細胞因子に焦点を当て検討を加えた。その結果、P. gingivalis は歯肉上皮細胞に侵入後、宿主細胞内のリサイクリング経路に関わるとされるRab GTPase の1 つであるRab4A と共局在を示すことを確認した。また、歯肉上皮細胞のRab4A をノックダウンさせると、細胞内に存在するP. gingivalis 生菌数が、コントロールと比較し増加した。さらに、Rab4A をノックダウンした歯肉上皮細胞では、感染後5 時間において初期エンドソーム・マーカーであるEGFP-2xFYVE とP. gingivalis との共局在率が、コントロールと比較し増加した。 これらの結果より、P. gingivalis の初期エンドソームから次のオルガネラへの輸送にRab4A が関与する可能性が示唆された。
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