機能的かつ審美的なインプラントおよび補綴歯科治療の実現には,低侵襲で確実な歯槽骨増生が不可欠であることから,骨補填材料を用いた骨増生術にBMP2やPDGFなどの細胞成長因子を併用する試みが広く行われている。しかし,これらの生理活性物質は,リコンビナントタンパク質であり,コストパフォーマンス,生体内における安定性,安全性等の点で改良すべき課題が残る。我々は,骨増生に用いる細胞活性因子として,分子量が小さく,安価で,化学合成・修飾が容易な小分子化合物に着目してきた。本研究の目的は,骨芽細胞分化促進作用を有する化合物を簡便かつ高い信頼度で検出するためのスクリーニングシステムの構築,ならびに骨芽細胞分化促進作用および骨形成促進作用を有する化合物を探索することである。 平成26年度は,同定した化合物群が,実際にマウス骨髄由来未分化間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に促進的に作用するか否かをALP活性および基質の石灰化,骨芽細胞分化特異的遺伝子発現,細胞毒性,細胞死に関して検討を行った。 さらに,同定した化合物を,申請者がこれまでに確立してきたラットの頭蓋骨欠損モデルを用いた骨再生の評価法を用い,これが骨欠損部における新規骨再生材料となり得る可能性を,HE染色等の手法で骨再生を組織学的に評価することで,スクリーニングシステムの評価を行った。
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