研究課題
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患で,症状の一つである嚥下障害に近年注目が集まっており,申請者は,準備期・口腔期嚥下の遂行において最も重要な働きをもつ「舌圧」に着目し,また喉頭運動の同期測定も行うことで,パーキンソン病における口腔期から咽頭期までの一連の嚥下動態についての疾患特異性を明らかにし,パーキンソン病嚥下障害の客観的診断及びリハビリテーション計画の策定への貢献の可能性を見出すことを目的として研究を進めてきた.本年度は昨年度に引き続き,大阪大学医学部附属病院神経内科の協力の下,パーキンソン病患者の嚥下時舌圧・喉頭運動の計測を主に行ってきた.本年度で新たに10人の計測を行い,昨年度と合わせて計30人の被験者を計測することができた.これらの計測結果を分析し,パーキンソン病患者においては嚥下障害の有無にかかわらず嚥下時舌圧が低下し,さらに嚥下障害がある患者ではとくに嚥下時に特に重要となる口蓋前方部での舌圧が低下することがわかった.また,咽頭期の嚥下障害の有無と嚥下時舌圧最大値との間に相関があることを見出し,嚥下時舌圧の低下が口腔期だけでなく咽頭期にも影響を及ぼす可能性が示唆された.これらのことは舌圧計測がパーキンソン病嚥下障害患者の新たな診断ツールとなり,パーキンソン病患者の嚥下障害の診断・治療に貢献する可能性を示したといえる.これらの成果は,国内外の嚥下研究関連の学会で発表を行い,特にアメリカで開催されたTHE DYSPHAGIA RESEARCH SOCIETY 23st ANNUAL MEETINGにおいて演題に採択され,発表を行った,これらの成果を論文発表をするため執筆活動を行っている.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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