研究課題/領域番号 |
25893128
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶原 友美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90706920)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 精神科救急・急性期病棟の実際 |
研究実績の概要 |
今日、国内外の精神医療が地域移行するに伴い、入院医療は、より急性症状の治療へ特化したものとなりつつある。筆者は、精神科救急病棟における非自発的入院患者の治療拒否への看護援助場面の参加観察と看護師、患者双方のインタビューから、看護援助は、患者の主体性に働きかける「どうにか入院を受け入れてもらう」援助と、治療を遂行するための「強制的な患者の保護」という2つの矛盾した対応の間でバランスを取りながら行われていることを明らかにした。本研究では、以上の研究を発展させ、精神科救急・急性期病棟における非自発的入院患者に対した、患者の主体性の維持と治療の遂行の間でバランスのとれた看護援助を行うための看護援助指針を作成することを目的としている。 平成25年度は、文献検討によって、精神科救急・急性期病棟において困難とされる非自発的入院における看護援助場面への認識を看護師、患者の視点から明らかにした。看護師の認識では、非自発的入院という予測不能性や、治療効果の要求という精神科救急・急性期病棟の機能の中で、強制力や厳しいルールの使用といった患者の主体性の維持に反する実際がある一方で、患者との間における相互作用や親密さが快適さにつながり、効果的に危機を管理する能力といった高い洗練された技術が使われていることが明らかになった。また、患者の非自発的入院に対する認識では、肯定的体験と否定的体験、更にそれらの体験に影響する因子が明らかとなった。【事実より患者自身が強制力を認識するか否か】が、複数の研究で患者の体験に影響していることが明らかになり、患者の認識に働きかける看護援助が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、精神科救急・急性期病棟における非自発的入院に対する看護師、患者両者の認識を踏まえ、インタビューデータと先行研究を質的機能的に分析し、患者の主体性の維持と治療の遂行の間でバランスをとるための看護援助指針をまとめる予定であった。しかし、インタビューデータより抽出された看護援助に対して、対象看護師へ確認を行い、真実性を確保する手順を踏んだため、時間を要し、指針をまとめるに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
非自発的入院患者に対する看護援助方法を、場面の参加観察データと看護師、患者双方からのインタビューデータより質的機能的に分析し抽出する。抽出された看護援助指針をまとめ、エキスパートナースへのフォーカスグループインタビューを行い、指針の妥当性の検証を行い、使用可能なものにまとめる。
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