多くの認知症患者は、不眠や昼夜逆転、夜間の徘徊などの睡眠-覚醒リズム障害を抱えている。そして、認知症疾患ごとにその症状の特徴は異なっており、各疾患に応じたケアの必要性が指摘されている。 本研究は、睡眠の測定機器を用いて、認知症患者の睡眠-覚醒リズム障害の実態を明らかにする。そして、データを病棟スタッフへのフィードバックを行い看護計画の立案やケアの評価に活用する。さらに、これらのデータを蓄積することにより、ケアのエビデンスを構築することを目的としている。これらの研究成果は、効果的な非薬物療法としてのケアの提供に貢献するものである。 本年度は、計画書通りデータ収集を実施した。 対象は、認知症専門治療病棟に入院中の認知症患者約40名であった。5週間以上に渡り測定機器を用いて睡眠状況の観察を行った。最初の2週間では、観察研究として睡眠-覚醒リズム障害を測定した。その結果を看護師、ケアワーカー、医師、作業療法士が参加するカンファレンスでフィードバックし、スタッフとともに対象者の睡眠-覚醒リズムを評価し、看護計画としてのケアの立案を行った。その後3週間は、立案した看護計画を実施し、継続した機器による観察から、介入したケアの評価を行った。
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