研究課題/領域番号 |
25893130
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長谷川 菜摘 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20708599)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | メディエーター転写共役複合体 / MED1 / エストロゲン受容体 / 乳癌 |
研究概要 |
私は、以前の研究でRNA ポリメラーゼII ホロ酵素の構成成分である基本的転写共役複合体メディエーターが、そのサブユニットMED1 とMED24 が協調して働くことにより、エストロゲン受容体を介する正常マウスの思春期乳腺上皮細胞およびヒトの乳癌細胞の増殖を特異的に担うことを報告した。本研究はこの成果を基盤に、乳癌モデルマウスと種々のMED1 およびMED24 変異マウスを用いて、MED1 とMED24 が乳癌の発症と特性、予後、治療反応性・抵抗性などにどのように寄与するかを個体レベル・分子レベルで明らかにし、乳癌の予後・治療反応性等を予測する検査方法を樹立するための基礎的研究を構成すると共に、乳癌治療の新たな分子標的を探索することを目的とする。当該年度では、各種MED1変異マウスを乳癌発症モデルマウスと交配して検討するため、私達の持つMED1変異マウス[MED1(1-530) KI, MED1(LX) KI,MED1/MED24 doubleKO]をFVB/Nにバッククロスを少なくとも4回行い、乳癌発症モデルマウスとの遺伝学的背景の統一を行った。 また、ERとMED1のN端をバイパスする分子CCAR1にも注目し、CCAR1KOマウスの作製を開始した。KOマウスの作製は理化学研究所神戸の相澤慎一博士との共同研究により行い、本年度はターゲッティングベクターの作製からES細胞での相同組換え体の選別まで実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に示したことのうち、乳癌の発症・増殖・悪性度とMED1の分子解剖に関しては、私達の持つMED1変異マウス[MED1(1-530) KI, MED1(LX) KI,MED1/MED24 doubleKO]と乳癌発症モデルマウスとの遺伝的背景の統一がほぼ完了した。また、CCAR1KOマウスの作製も順調に進んでおり、次年度の研究につなげることが十分可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、MED1変異マウス[MED1(1-530) KI, MED1(LX) KI,MED1/MED24 doubleKO]と、乳癌発症モデルマウスとを交配し、MED1変異乳癌マウスモデルを作製し、野生型の乳癌マウスと週齢別乳癌発症率週齢、触診による乳癌の増殖速度の定量、転移の有無、致死率について比較する。当該年度に始めたCCAR1 KOマウスの作製についても、germline transmissionを得て完成させ、直ちにFVB/Nにバッククロスする。完成させたCCAR1KOマウスは、MED1変異マウスと同様に乳癌発症マウスと交配したり、乳腺上皮細胞の初代培養を行うことでCCAR1 のER 機能、特に乳癌の発症や特性に関わる生体内での役割を同定する。
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