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2013 年度 実績報告書

アルポート症候群に対するリードスルー誘導療法を利用した遺伝子治療

研究課題

研究課題/領域番号 25893131
研究機関神戸大学

研究代表者

野津 寛大  神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70362796)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード小児腎臓病学
研究実績の概要

アルポート症候群は重篤な遺伝性腎疾患で、そのほとんどが30歳までに末期腎不全へと進行する。最も頻度の高いX染色体連鎖型アルポート症候群(XLAS)は4型コラーゲンα5鎖をコードする遺伝子COL4A5遺伝子の異常で発症する。同疾患においてはナンセンス変異を有する患者に比し、ミスセンス変異を有する患者では末期腎不全到達年齢が大幅に遅延することが明らかとなっている。この事実からナンセンス変異を有するXLAS患者において、ナンセンス変異をリードスルーやエクソンスキッピングによりインフレーム変異へと置換することで、臨床症状を軽症化することが可能である。今回、患者由来細胞を用いて同治療法の有効性につき検討を行っている。
私たちは、今回、患者尿中落下細胞の培養により、患者由来尿細管上皮細胞のcell lineの作成に成功した。さらには、尿中落下細胞より腎前駆細胞を抽出し培養することにも成功している。今後、podocyteへと分化誘導を行い、分子標的薬の治療効果判定に用いる予定である。また、培養尿細管上皮細胞における4型コラーゲンα5鎖免疫染色を行い、遺伝子変異の種類とその発現の相関関係を再確認を行った。その結果、ナンセンス変異を有する細胞では陰性、ミスセンス変異を有する細胞では陽性であることが明らかとなった。この結果から、分子標的薬の治療効果判定に用いることができることが明らかとなった。さらにアンチセンスオリゴを作成し、コントロール細胞において目的とするエクソンスキッピングを誘導させることに成功した。今後、実際の患者由来細胞に対して投与を行い、その治療効果を判定する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究においては当初より、患者由来尿中落下細胞を用いて治療の可能性につき検討を行うこととしていた。今回アルポート症候群患者の乳中落下細胞からcell lineを作ることに成功したが、それらの細胞は近位尿細管細胞へと分化したものであった。一方、アルポート症候群の首座は糸球体基底膜上皮細胞(ポドサイト)であり、同疾患で異常を認める4型コラーゲンα5鎖の産生量が今回作成したcell lineでは十分でないことが判明した。しかし、患者尿中落下細胞には腎前駆細胞も含まれていることが判明し、現在、それらの細胞をポドサイトへと分化させるための予備実験を行っている。
当初全く予想していなかった、患者尿中落下細胞中の腎前駆細胞の存在を突き止めたため、今後本研究はさらなる発展を遂げることが強く期待できる。

今後の研究の推進方策

上述のように、患者尿中落下細胞中に腎前駆細胞が混入していることが明らかとなった。今後、これらの細胞をポドサイトへと分化誘導することで、遺伝子改変を伴わない理想的な疾患モデル細胞の構築が可能となる。
今後の方策として、あらゆる遺伝子変異を有するアルポート症候群患者において、ポドサイトまで分化誘導し、それぞれの遺伝子変異に即した治療法の開発を行う。具体的にはナンセンス変異を有する場合はナンセンスリードスルー療法、欠失や挿入に伴うフレームシフト変異に対してはエクソンスキッピングを用いてインフレーム変異への置換を行う治療法の開発を行う。それらのin vitroのデータを元に疾患モデルマウスを作成し、それらの治療法の有効性に関する検討を行う。

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公開日: 2016-06-01  

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