研究課題
アルポート症候群は重篤な遺伝性腎疾患で、そのほとんどが30歳までに末期腎不全へと進行する。最も頻度の高いX染色体連鎖型アルポート症候群(XLAS)は4型コラーゲンα5鎖をコードする遺伝子COL4A5遺伝子の異常で発症する。私たちはこれまで、200家系以上のXLAS患者の遺伝子診断を行ってきた結果、truncating変異を有する患者に比し、non-truncating変異を有する患者では末期腎不全到達年齢が大幅に遅延することを明らかにした。この事実からtruncating変異を有するXLAS患者において、ナンセンスリードスルーやエクソンスキッピング療法によりnon-truncating変異へとタンパクレベルまたはmRNAレベルで置換することにより、疾患を軽症化させることが可能である。今回私たちは、本研究期間内に以下の研究を行った。患者における遺伝子変異の同定及び遺伝子型と臨床像の相関に関する検討:私たちはアルポート症候群250家系において、遺伝子診断を行い、遺伝子型と臨床型の相関を明らかとしてきた。その結果、1)COL4A5遺伝子にミスセンス変異を有する場合、2)COL4A5遺伝子にインフレーム変異を有する場合、3)COL4A5遺伝子に体細胞モザイク変異を有する場合、4)COL4A5遺伝子にスプライシングに影響を与える変異を有するが、腎臓においては、異常なmRNAと同時に正常のmRNAが産生される場合、5)腎病理組織の免疫染色で糸球体に4型コラーゲンα5鎖の発現を認める場合に臨床症状が軽症であることを次々と明らかとした。(Hashimura Y, Nozu K, Kidney Int 2014;85:1208-13)(Nozu K et al. Clin J Am Soc Nephrol 2014;9:1958-64.)(Nozu K et al. Mol Genet Genomic Med 2014;2:451-3.)(Oka M, Nozu K et al. Pediatr Nephrol 2014; 29: 1535-44)
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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