研究課題/領域番号 |
25893132
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大西 康央 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (50707122)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 炭酸ガス / 乳癌 / 骨転移 |
研究概要 |
ヒト乳癌細胞株(MDA-MB-231)をBALB/c-nuマウス(メス)の脛骨近位部に(約100万細胞)骨髄内移植し、骨転移の検討を行った。腫瘍移植後より、1週間ごとにXPにて下肢膝周囲を中心に前後、側面を撮影し確認した。また、micro CTも使用し、骨転移の評価を行った。ヒト乳癌細胞株による骨破壊像が確認できるのは2週間後以降であった。 経皮的炭酸ガス吸収システムを使用して、骨転移部に対する抗腫瘍効果を検討した。 ヒト乳癌細胞株を骨髄内に移植2週間後にmicro CTにて骨溶解像を確認した後、腫瘍サイズが均等になるように骨転移モデルマウスを治療群(10匹)、コントロール群(10匹)の2グループに分け従来通り1回を10分とし2回/週を2週間、計4回の治療を行った。治療終了後にXP、micro CTにて骨溶解像、骨量を検討した。治療終了後には治療群において有意に骨溶解像の減少、骨量減少の抑制を認めた。 経皮的炭酸ガス吸収システムを使用することにより乳癌の骨転移部に対する抗腫瘍効果がある事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に平成25年度行う予定であった経皮的炭酸ガス吸収システムによる抗腫瘍効果は有意な成果を得られており、また組織検体も採取できている。平成26年度に行う予定ある破骨細胞、骨芽細胞に関する実験の予備実験および本実験の計画も完成しており、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に行う予定の研究計画は以下のとおりである。 1経皮的炭酸ガス吸収システムによる抗腫瘍効果メカニズムの検討を行う。H25年度に採取した腫瘍組織検体を用いてアポトーシスの亢進の有無をDNA断片標識を利用した蛍光免疫染色法、FACSにて検討する。関連蛋白(caspase-3、-9、PARPについてもウエスタンブロッティング法にて比較検討を行う。 2治療部位の低酸素環境改善の評価検討を行う。低酸素マーカーであるピモニダゾールを使用する。治療前に腹腔内投与を行い、コントロール群には生食を投与、組織を採取後、免疫染色法にて比較検討する。また、低酸素マーカーとして知られるHIF-1の発現についても免疫染色法にて確認する。HIF-1下流に位置する標的遺伝子VEGFの発現についても同様に評価を行う。 3低酸素改善による破骨細胞、骨芽細胞に対する影響について評価を行う。各群の組織を採取し、破骨細胞、骨芽細胞の評価を行う。破骨細胞に関してはTRAP染色にて陽性の細胞の比較を免疫染色法で行い、破骨細胞のアポトーシスも評価する。骨芽細胞に関しては、骨分化マーカーである、Runx2、osteocalcinなど骨形成マーカーをReal-time PCR法にて測定、アルカリフォスファターゼ染色により陽性細胞の比較検討を行う。 4経皮的炭酸ガス吸収システムの使用に伴う骨痛軽減の評価を行う。マウスの後下肢片側脛骨骨髄内に乳癌細胞を移植、コントロール群として逆側に生食を注入し、モデルマウスを作製する(n=10匹)。疼痛の評価としては、熱刺激に対する反応として慢性疼痛モデル動物の評価に用いられているホットプレート試験にて痛覚反応時間の測定を行い、比較検討する。また、電気刺激に対する反応としてFlinching法を用いて刺激に対する反応回数の測定を行い、比較検討する。
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