研究課題/領域番号 |
25893133
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高山 孝治 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (80546490)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 軟骨変性 / ラパマイシン / オートファジー |
研究概要 |
Rapamycin の節軟骨変性の抑制効果を検討するため、平成25年度はマウス変形性膝関節症モデルにおける rapamycin 関節内注射の有効性を検討した。C57BL/6 マウスの右膝関節を切開し、meniscotibial ligament を同定、切離することで、内側半月板を損傷させ、OA モデルを作成した。作成した OA モデルマウスに 週に2回rapamycin(10μM, 10μl) を8 週間関節内注射を行った。左膝関節には、関節切開のみを加え、右膝関節と同濃度の rapamycin または PBS をそれぞれ関節内注射した(sham 群)。 手術後 8 週および 12 週において、関節軟骨の変性状態を組織学的、分子生物学的に解析評価した。Toluidine blue 染色にて、rapamycin投与群はsham群に比べ術後8週、12週において有意な軟骨変性の減少を認めた。また、変形性関節症においてコラーゲン分解に関与しているmatrix metallopeptidase 13 (MMP13)の発現はrapamycinにより抑制されており、rapamycinの関節内注射による軟骨変性抑制効果が確認できた。そのメカニズムとして、rapamycin投与により、p-mTORの発現は減少し、LC3の発現は増強していることより、rapamycinによるオートファジーの活性化を介していることが示唆された。また、rapamycinの投与にVEGFの発現も減少しており、rapamycinによる軟骨変性抑制効果は血管新生抑制も介している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の実験計画は、マウス変形性膝関節症モデルにおける rapamycin 関節内注射の治療効果を検討することであった。まず、C57BL/6 マウスの膝関節を切開し、meniscotibial ligament を同定、切離することで、内側半月板を損傷させ、術後8週、12週においてOA モデルを作成することができた。さらに作成したOAモデルマウスにrapamycinを週2回関節内投与し、軟骨変性抑制効果を組織学的、分子生物学的に解析し、rapamycinの関節内注射によって軟骨変性抑制効果が期待できるという仮説を裏付ける結果が得られた。またそのメカニズムとしてrapamycinによるオートファジーの活性化、血管新生の抑制効果が関与している可能性が示唆された。当該年度における実験計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の計画は順調に進行しており、平成26年度はマウス変形性膝関節症モデルにおける徐放化 rapamycin 関節内投与の治療効果を確認することを目標としている。まず、難水溶性低分子薬物である rapamycin を乳酸オリゴマーグラフトゼラチンによって rapamycin を水可溶化する。次に、水可溶化 rapamycin を含むゼラチン水溶液からハイドロゲルを調整、rapamycin 含有ゼラチンハイドロゲルを得る。この徐放システムでは、ハイドロゲル内に含有固定化された水可溶化rapamycin は、ハイドロゲルの分解とともに、ハイドロゲルから徐放化される。予備実験として行ったrapamycin 含有ゼラチンハイドロゲルのハイドロゲル分解性と rapamycin の徐放性の評価では、良好な相関関係を認めている。この rapamycin 含有ゼラチンハイドロゲルをマウス OA モデルに関節内投与し、平成 25 年度と同様にサフラニン O 染色、トルイジンブルー染色による組織学的評価、MMP13、ADAMTS5、Col10A1、IL-6, VEGF などの免疫学的組織染色、アポトーシスの評価、senescence の評価を行う。関節軟骨より RNA を採取し、遺伝子発現の変化を real time PCR にて定量的に解析評価する予定である。
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