研究実績の概要 |
Rapamycinを関節内に徐放的に投与するために、難水溶性低分子薬物である rapamycin を乳酸オリゴマーグラフトゼラチンによって rapamycin を水可溶化し、水可溶化 rapamycin を含むゼラチン水溶液からハイドロゲルを調整、rapamycin 含有ゼラチンハイドロゲルを作成した。まず、このrapamycin含有ゼラチンハイドロゲルからrapamycinが徐放化されることを確認した。次にC57BL/6 マウスのmeniscotibial ligament を切離したOA モデルマウスに rapamycin 含有ゼラチンハイドロゲルを関節内投与した群とrapamycinの関節内単回投与群、rapamycin非投与群の比較検討を行なった。Rapamycin 含有ゼラチンハイドロゲルを関節内投与した群は他の群に比べ、OAの進行が抑制されていることをサフラニンO染色にて組織学的に確認した。また関節軟骨のオートファジー関連タンパクの発現量を検討するとRapamycin 含有ゼラチンハイドロゲル群でLC3-II/LC3-I比の増加を認めており、ラパマイシンの投与によるOA進行抑制効果は、軟骨細胞でのオートファジーの活性化を介していることが示唆された。さらに、関節軟骨の遺伝子発現量を検討するとRapamycin 含有ゼラチンハイドロゲル群でIL-1β, IL-6などの炎症性サイトカインの発現も減少していることが確認され、rapamycinのOA抑制効果はオートファジーの活性化のみならず、mammalian target of rapamycin (mTOR) シグナルの抑制により、炎症性サイトカインの発現抑制を介していることが示唆された。
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