研究課題
心臓の洞結節に存在するペースメーカ細胞は心臓の歩調とりを担う細胞であるが、ヒトペースメーカ細胞は生体からの直接採取が困難であるため、解析はほとんど進んでいない。そこで、今回の研究では、ヒトES細胞の心筋分化誘導系からペースメーカ細胞のマーカーであるイオンチャネル遺伝子“HCN4”の発現をCFP(Cyan Fluorescent Protein)で可視化し、純化精製する実験系を構築した。今年度は、単離したHCN4陽性細胞の特性解析と、ペースメーカ細胞と心室筋細胞を同時に可視化・単離する細胞株の樹立を行った。まず、HCN4陽性細胞に関しては、分化誘導後7日目前後の早期から、心筋拍動部位で特異的にCFPの発現が始まり、分化誘導後90日以降まで、心筋拍動部位で特異的に継続することが分かった。加えて、CFP陽性細胞はHCN4やHCN1などのペースメーカ細胞マーカー遺伝子や心筋特異的収縮タンパク質を発現することが判明した。さらに、電気生理学的解析では、自動能やペースメーカ細胞に特徴的な各種イオンチャネル電流が測定され、イオンチャネル阻害剤にも、生体と同濃度で、反応性を示したことから、薬剤への生理的応答能を有することが判明した。以上の結果から、我々の実験系で、ペースメーカ細胞が単離可能であることを見いだした。現在、この解析結果をまとめて、論文を執筆中であり、研究成果を国際幹細胞学会で発表する。加えて、心室筋細胞との同時単離系では、前述のペースメーカ細胞可視化細胞株において、心室筋細胞のマーカーであるMLC2v遺伝子座にmCherry蛍光タンパク質をノックインした細胞株の樹立を行った。樹立した細胞株の心筋分化誘導を行うと、心筋分化初期では、CFP蛍光のみが確認され、分化誘導後20日前後から、mCherry蛍光の発現がみられることが分かった。現在、この細胞株の解析を進めている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biomedical Research
巻: 36(1) ページ: 11-19
10.2220/biomedres.36.11.
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http://www.med.tottori-u.ac.jp/regmed/
http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/center/next-generation-advanced-medical-promotion-center/
http://www.med.tottori-u.ac.jp/introduction/grad/297/430/563/1345.html