• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

血管誘導能に優れた未分化間葉系幹細胞の骨再生技術の確立と顎裂閉鎖治療への展開

研究課題

研究課題/領域番号 25893148
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関広島大学

研究代表者

鷲見 圭輔  広島大学, 医歯薬保健学研究科, 助教 (00707078)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード再生医療 / 矯正歯科 / 口唇裂口蓋裂
研究概要

研究目的:我々は口唇裂・口蓋裂(CLP)患者に対する新規顎裂閉鎖治療の確立を目指して、ビーグル犬顎裂モデルを用いて未分化間葉系幹細胞(MSCs)および未焼結炭酸アパタイト顆粒 (CAP) 担体の移植を行い、良好な骨再生が生じることを明らかとした。骨再生過程においては、新生骨に先立って豊富な血管新生が不可欠となる。本研究では、MSCsの移植が血管新生に対する影響を検証するため研究期間内に以下の項目を検討した。
研究方法:実験1 MSCsの分化によるVEGF産生能への影響の検討:56か月齢雌ビーグル犬の腸骨および顎骨骨髄から単離培養したMSCsを用いた。各々のMSCsについて未分化の状態および骨分化誘導後のVEGFの発現レベルについて定量PCR解析を行った。実験2 CAP上での培養によるVEGF産生能への影響の検討:CAPディスクを作製し、MSCsを、CAP切片を静置した培養皿および通常の培養皿上に培養した。実験1と同様に骨分化誘導前後のVEGFの発現レベルについて定量PCR解析を行い、CAPの存在が、血管新生能に対して、どのような影響を及ぼしているのかを検討した。実験3 血管内皮細胞による血管新生に対するMSCsの及ぼす影響の検討:血管内皮細胞と未分化MSCsおよび骨分化させたMSCsとを各々共培養を行った。血管新生の様子をangigenesis assayにより経時的に血管新生の比較検討を行った。
研究成果:1.腸骨、および顎骨いずれも、骨分化誘導後にVEGF発現量は低下し、未分化MSCsの方がVEGF発現量は高いことが明らかとなった。2.CAP上での培養においても未分化MSCsの方がVEGF発現量は高いことがあきらかとなり、また発現量は通常培養と有意な差は認めなかった。3.MSCsと血管内皮細胞を共培養することにより、血管内皮細胞の血管新生が促進されることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、当初研究目的では初年度にMSCsの各継代数におけるVEGF発現量の変化を測定することで、MSCs の性状を検証し、またCAPの存在が、MSCsの接着、増殖能および骨分化能に対して、どのような影響を及ぼしているのかを検討する予定であったが、VEGF発現量の変化については骨分化誘導前後のMSCsのVEGF発現量の比較検討に修正した。この理由として、骨再生時にMSCsの一部が骨芽細胞分化することが明らかであり、より骨再生初期状態に近い状況を再現、検討することとしたためである。さらに移植の際に骨芽細胞分化させたMSCsを移植することも移植方法の一つとして検討したことによる。またCAPの存在が、MSCsの接着、増殖能および骨分化能に対して、どのような影響を及ぼしているのかを検討した。これにより、当初からの目的であったより信頼性の高い移植に対するMSCsの品質について検討することが出来たと考えられ、研究の達成度としてはおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策としては、当初研究目的であったビーグル犬口蓋裂モデルを用いて、25年度で明らかとなった移植に最適化されたMSCsを顎裂部に移植し、骨および血管新生について比較検討を行う。さらに、再生された顎裂部に対して、矯正装置を用いて人為的に歯を移動させることで、正常に歯の移動が行われるか組織学的検証を行う。また、MSCsの特異的細胞表面マーカーの発現状態を確認、MSCsの同定を行う。さらに血管新生能の高い細胞のソーティングを行い、骨分化誘導前後での比較検討を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 骨髄由来間葉系幹細胞が血管新生に及ぼす影響2014

    • 著者名/発表者名
      沖 奈苗, 鷲見圭輔, 阿部崇晴, 國松 亮, 麻川由起, 粟田哲也, 丹根一夫, 谷本幸太郎
    • 学会等名
      第38回日本口蓋裂学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      20140529-20140530
  • [学会発表] 口蓋裂患者における顎裂部骨再生治療法の確立―担体の代謝とMSCsの相互作用についての検討―2013

    • 著者名/発表者名
      鷲見圭輔, 麻川由起, 吉岡基子,沖奈苗, 阿部崇晴, 杉山 勝, 谷本幸太郎
    • 学会等名
      第52回広島県歯科医学会・第97回広島大学歯学会
    • 発表場所
      広島市歯科医師会館
    • 年月日
      20131110-20131110

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi