研究概要 |
口腔扁平上皮癌由来細胞株5種(HSC2, HSC3, HSC4, SAS, Ca9-22)、および正常上皮由来細胞株2種(非発癌性の表皮細胞由来細胞株であるHaCaT)、上皮異形成症由来細胞株1種(DOK)を使用した。炎症性マウス線維肉腫腫瘍モデル(QRsPs細胞株)の単一腫瘍細胞由来の性質の異なる2種類のクローン細胞に関する、プロテオーム解析による差次的発現解析の結果、発現に有意差を認めたタンパク質をリストアップした。その候補タンパク質について、細胞の足場依存性喪失に関与する因子を中心にさらに検討を行い、10種類に絞り込みを行った。これらの候補タンパク質について、口腔扁平上皮癌由来細胞株と正常上皮由来細胞株、上皮異形成症由来細胞株におけるmRNAReal-Time PCRを使用して確認した。細胞株からRNAを抽出し、逆転写後、SYBR Green法によるReal-time PCRを施行し、相対的定量法(ΔCT法)を用いて、口腔癌に高発現している遺伝子を同定した。SYBR GREEN法ではPCR効率の低下による定量性の低下が問題となるが、米国IDT社が設計したプライマーを用いて連続希釈テンプレートを用いたPCR効率の検討を行い、結果が100%に近いものを定量に用いた。上記により、さらに細胞の足場依存性喪失に関与する因子の絞り込みを行った。現在、絞り込まれた因子について、タンパク質の発現状況をWestern blottingを用いて発現を確認中である。 今後、絞り込みを行った因子に関して、臨床検体パラフィンブロックを用いた遺伝子発現の検討を、Real-Time PCR 法および免疫組織化学染色法により行い、臨床検体中の候補タンパク質のmRNAおよびタンパク質の発現状況を確認する。
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