研究概要 |
ミトコンドリアは酸化的リン酸化を通じて大半のATP産生を担い、生体におけるエネルギー代謝の中心である。すなわち生物が生存するためにはミトコンドリア依存的ATP産生が必須である。しかしながら、自然免疫におけるミトコンドリアの役割は不明確であるため、本研究において解析を行った。本年度は下記3点をメインに解析を進めていった。 (1)MEF細胞株を用いたサイトカイン発現解析 p32ノックアウトMEF細胞を用いて、各種Toll様受容体のリガンドで刺激した。TLR3,4のリガンドに対する反応性は良好であったため、こちらをメインに解析を行った。しかしながらTLR9のリガンドへの反応は不良であるため、解析は困難であった。各種炎症性サイトカインならびにインターフェロンのmRNA量をRT-PCR法を用いて定量解析行った。その解析の結果、ミトコンドリアの機能異常はサイトカインの産生に影響を与えることが示唆された。さらに翌年度も解析を進めていき、その成果を学会、論文などにて発表予定である。 (2)組織特異的p32ノックアウトマウスの作製 LysM-Cre knockinマウスと交配して、マクロファージ特異的p32コンディショナルノックアウトマウスを作成した。そのマウスよりp32欠損マクロファージを得て、野生型マクロファージとの比較検討を行った。マクロファージはMEF細胞株とは異なるフェノタイプを示した。これらの結果よりMEF細胞株とマクロファージはp32以外のミトコンドリア関連分子の発現が異なる可能性が示唆された。それらの研究成果に関しては、日本臨床検査医学会にて発表を行った。 (3)メタボローム解析 作成したマウスのメタボローム解析用のサンプルを準備した。翌年度に解析を予定している。その内容に関しても上記と同様に発表予定である。
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