研究概要 |
初めに野生型(WT)およびpyruvate kinase(PK) 欠損マウス胎児より皮膚線維芽細胞を採取後、レトロウイルスにより山中4因子(Klf4, Oct3/4, c-Myc, SOX2)を導入し、iPS細胞の樹立を試みた。iPS細胞誘導に先立ち、PK欠損マウス胎児より得られた線維芽細胞を用いてgenotypingを行い、PKホモ欠損であることを確認した。山中4因子導入により得られたES細胞様のコロニーは、 ALP染色、SSEA-1及びNanog 陽性であり、RT-PCR法によりES細胞マーカー(Dax1、Eras等)が検出された。同細胞ではベクター由来の外因性遺伝子は消失し、内因性のKlf4, Oct3/4, c-Myc, SOX2の発現が確認された。さらに、免疫不全マウスを用いたテラトーマ形成試験によりin vivoにて三胚葉への分化を確認し、iPS細胞の特性解析を行った。 次にトランスポゾンベクターを用い、正常 pyrivate kinase LR遺伝子を発現するベクターを構築した。得られたWTマウス由来iPS細胞を用いて、血球細胞への分化誘導を行った。胚葉体(EB)形成8-12日目にOP9 細胞上に再播種し、mVEGF、mIGFIIを含む培地、mSCF、mIL-3、dexamethasone、hEPOを含む分化誘導培地で培養後、CD71陽性細胞割合は40-60%であった。CD71陽性細胞にmicroporatorにてGFPをレポーターとする遺伝子治療用ベクターを導入し、OP9細胞上に播種した5-7日後、GFP陽性細胞コロニー細胞をピックアップしmSCF、mIL-3、dexamethasone、hEPO、mIL-6、seleniumを含む分化誘導培地でOP9細胞と共培養しものでは21日後のCD71陽性、ter119陽性細胞の割合は約30%であった。
|