研究課題
悪性末梢神経鞘腫瘍臨床検体を用いて、AKT-mTORシグナル伝達系の上流・下流因子を同定するための研究を行った。具体的には、免疫組織化学染色やウエスタンプロッティング法により、上流因子として重要と思われるPTENをはじめとして各種チロシンキナーゼ受容体の発現解析を行い、また、下流因子としては、血管新生系に注目し、HIF-1αなどの発現解析を行った。そのなかで、PTEN、HIF-1αは、いずれも免疫組織化学染色における染色性が優れており、陽性・陰性の判定が容易に行い得ることを確認した。そして、判定の結果、悪性末梢神経鞘腫瘍の約半数でPTENの発現低下、HIF-1αの発現亢進が確認された。上記発現解析の結果を元に臨床病理学的検討を行った結果、上記因子の異常発現は腫瘍の悪性度や予後と関連する可能性が示唆された。免疫組織化学染色とウエスタンプロッティング法の結果はよく相関しており、信頼できるものと考えられた。上記結果は、遺伝性疾患で難病指定されている神経線維腫症1型患者における悪性末梢神経鞘腫瘍発症のメカニズムを理解する上で有用となりえるものである。そして、悪性末梢神経鞘腫瘍は現行の抗がん剤治療に抵抗性を示し、予後不良であることから、新規薬物治療開発につながる研究へと発展する可能性を有する。今後は、上記結果をもとに阻害実験などによる新規薬物治療開発のための基礎的研究を継続することを計画している。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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