研究実績の概要 |
MYCN Tg Mのheterozygoteを用いて、腫瘍の自然発生率と各免疫担当細胞との関係を検討した。MYCN Tg M heterozygoteにおいて、約半数のマウスが腹腔内や縦隔内に腫瘍発生し、20週以内に死亡した。その一方、2,3週齢マウスの上腸間膜動脈神経節を組織学的に検討すると、全てのマウスの神経節において癌細胞を認め、その頻度は週齢が進むごとに減少していた。すなわち、MYCN Tg M heterozygoteにおいて神経芽腫の自然退縮が起こっていることが示唆された。この自然退縮に免疫細胞が関与していると仮定し検討を行った結果、各免疫細胞をdepletionすることで腫瘍発生率が変化することが判明し、このモデルマウスの自然退縮に免疫が関与していることが考えられた。 治療として、同系統マウス骨髄から得られた前駆細胞をサイトカインカクテルによって大量増幅して誘導した樹状細胞を使用。樹状細胞に提示する抗原としては腫瘍のLysateを使用し、活性化の方法としてOK-432をパルスした。上述の樹状細胞をマウスに皮下投与し、腫瘍発生率並びに生存率の検討を行った結果、腫瘍が発生していない5週齢の段階で樹状細胞を投与することで、腫瘍発生を高率に抑制することに成功し、この効果は特にCD4・NK細胞に依存していた。
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