研究概要 |
Bcl-xL cKOはwild typeと比べ骨形態計測およびマイクロCTの解析から骨量の減少が認められた。 まず骨芽細胞の増殖およびアポトーシスに関して2週齢マウスを用いてBrdU染色およびTUNEL染色を行った。BrdU染色では有意差はなかったが、TUNEL染色では有意差を認めた。このことからBcl-xLが欠失することにより増殖には影響を与えず、アポトーシスが亢進していることが示唆された。しかしながら骨形態計測では骨芽細胞数に有意差は認められなかった。 骨芽細胞分化について6、10週齢マウスの長管骨からtotal RNAを抽出し、骨芽細胞分化マーカーであるRunx2,Osterix,I型コラーゲン,オステオポンチン,オステオカルシンの発現をreal-time PCRで解析を行った。Wild typeとBcl-xL cKOではいずれの遺伝子においても有意差を認めなかった。このことからBcl-xLは骨芽細胞分化において影響を及ぼしていないことが示唆された。 また破骨細胞分化に影響を与えるRankl,OPGの発現をreal-time PCRで解析したところRankl/OPG比がBcl-xL cKOで有意な上昇がみられた。このことは破骨細胞分化亢進に関連しており、骨形態計測においても骨吸収面が有意に上昇していたことと一致する。 以上のことからBcl-xL cKOでは骨芽細胞数および分化には大きな影響を与えず、Rankl/OPG比の上昇による破骨細胞への影響により骨量の減少が引き起こされているものと推察される。現在、in vitroでの解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度はin vivoでの解析を行った。2週齢マウスでの骨芽細胞増殖およびアポトーシスの解析、6,10週齢マウスでの骨芽細胞分化マーカーおよびRankl,OPGのmRNAの発現解析まで行うことができた。 2,6,10週齢マウスの組織切片でI型コラーゲン、オステオポンチン、オステオカルシンのプローブを用いたin situ hybridizationを行う予定であったが、これに関しては来年度を予定している。 平成26年度予定の新生仔頭蓋冠由来骨芽細胞を用いた骨芽細胞分化誘導実験および骨髄細胞との共培養による破骨細胞分化誘導実験に関して予備実験をすでに進めており当初の計画通り進展しているものと考える。
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