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2013 年度 実績報告書

ヒトグリオーマ初代培養株を用いた悪性グリオーマに対する局所治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25893188
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関熊本大学

研究代表者

竹崎 達也  熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (50712402)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワードトランスレーショナルリサーチ / 癌 / 神経科学
研究概要

本研究の主たる目的は、血液脳関門の存在により薬剤の到達性が限られる悪性グリオーマ局所にに対し、抗癌剤などの治療薬剤を効率よく至適濃度に到達させる新しいドラッグデリバリーシステムを開発し、臨床応用を目指すことである。
膠芽腫は腫瘍摘出腔周囲からの再発が圧倒的に多く、局所再発を防ぐことが出来れば治療成績の向上が期待できるため、我々は「膠芽腫患者の手術摘出腔にテモゾロミド混合フィブリン糊製剤を散布すれば、徐放性にテモゾロミドが摘出腔周囲の膠芽腫ニッチおよびグリオーマ幹細胞に作用し、局所再発予防できる」と仮説をたてた。この仮説を証明するために患者検体を忠実に模倣し膠芽腫ニッチを再現できる患者検体由来グリオーマ初代培養株「皮下連続継代モデル」を樹立し、移植腫瘍片内にテモゾロミド混合フィブリン糊製剤を局所投与したとき腫瘍増大抑制効果を期待できることを本研究で明らかにしようとしている。
平成25年度は初代培養株3~5例の樹立を目指し、その性状解析および腫瘍形成能の評価を行う予定であった。実際には、15例のヒト膠芽腫臨床サンプルをヌードマウス皮下に注射したところ5例で皮下腫瘍の増大を確認できた。そのうち2例は皮下腫瘍として継代を成功し、さらに1例では脳内移植を行い、腫瘍形成能を確認できた。
患者検体より膠芽腫ニッチを病理学的・遺伝学的に忠実に模倣する患者検体由来グリオーマ初代培養株「皮下連続継代モデル」を新たに樹立し、膠芽腫ニッチを標的とした治療法を検討できる点が本研究の特徴である。平成26年度はさらに多くの初代培養株を樹立しつつ、テモゾロミド混合フィブリン糊局所投与法の腫瘍増大抑制効果を検討したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度中に3-5例の皮下連続継代モデルを樹立することを当初の目標としており、15例の臨床検体より5例が皮下腫瘍としヌードマウスに生着し、うち2例ではヌードマウス皮下での継代に成功しており、この点では計画はおおむね順調であると言える。ただし、in vitroでの腫瘍細胞のテモゾロミド感受性についての検討が進んでおらず、総合的に若干の計画の遅れがあると判断している。

今後の研究の推進方策

「皮下連続継代モデル」では皮下腫瘍においても脳内に移植されたときと同様の病理学的特徴、遺伝子情報を維持しているため膠芽腫ニッチを再現しているものと考えられる。そこで動物実験の第一段階として形成された皮下腫瘍内にin vitro実験にて検討されたテモゾロミド濃度に調整したテモゾロミド混合フィブリン糊を局所注入し、定時的にサンプル(腫瘍)を回収し、病理学的評価を行う。 第2段階として脳内移植モデルを作成する。4~6週齢ヌードマウス(メス)にガイドスクリューを留置する。短期培養された初代培養株の細胞数を100,000~500,000個に調整し、脳内に移植する(n=10)。腫瘍形成過程を追跡するために2~4週間毎に脳腫瘍移植脳を2サンプルずつ回収し、病理学的評価を行う。
 脳内腫瘍形成能を確認できた初期培養株をもちいてテモゾロミド混合フィブリン糊局所注入を検討する。腫瘍細胞を移植後、十分に腫瘍が形成された時期を見計らい、テモゾロミド混合フィブリン糊をボルトを通して局所注入する。コントロールとしてリン酸化バッファー単独、テモゾロミド単独、フィブリン糊単独局所注入群をおく。局所注入後、各グループを2つに分け、一方のグループでは定時的に3サンプルずつ回収し(4~5回)病理学的評価、腫瘍増大抑制効果の検討を行う。もう一方のグループでは局所注入後の生存期間延長が見られるか検討する。統計学的検討を行うために各グループ5匹ずつヌードマウスを用意する。

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公開日: 2015-05-28  

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