本研究の目的は、特別養護老人ホーム入所中の軽度・中等度認知症高齢者18名を研究対象(非無作為割り付けにより介入群9名、対照群9名)として、園芸活動プログラムを実施し、効果を検証することであった。 施設に入所中の認知症高齢者20名のうち、研究の同意が得られた18名を、年齢、性別でマッチングさせた介入群(9名)と対照群(9名)に振り分けた。 介入群は、看護職と介護職の協働のもと園芸活動を週1回、6週間を1クール(6回)として行った。植物の題材は生長が早い野菜、季節感を感じられ香りがある花を、対象者1名につき1鉢を継続して育てた。園芸活動の活動体制は対象者4名に対して園芸活動実施者(研究者)1名、担当職員2名、研究協力者(認知症看護の経験がある看護師であり、園芸に興味がある者)1名の計4名であった。介入開始前と介入終了1週間後の評価は、抑うつ尺度(Geriatric Depression Scale:GDS)、Activities of Daily Living (ADL-20) 、主観的QOL(生活満足度)、認知機能(Mini-Mental State Examination :MMSE)を用いた。 介入前の2群の比較にはt検定、χ2検定を行った。介入後の群間比較には、2元配置分析を行った。なお解析にはSPSS Ver. 22.0を使用し、統計的有意水準は5%未満とした。 その結果、介入終了1週間後の評価で、介入群および対照群において、ADL-20、認知機能(MMSE)、意欲(Vitality Index)の評価で有意な差は認められなかったが、介入群において、主観的QOL(生活満足度)、抑うつの改善が認められた。 以上より、園芸活動が、認知症高齢者の生活満足度、抑うつの改善に効果的な方法である可能性が示唆された。
|