身体状態が不安定な場合や疾病等によって体液の恒常が維持できない場合に薬液を循環系に直接投与できる輸液療法は必要不可欠である。投与された薬液は急速に身体に作用するため、臨床で看護師は投与量の管理には注意を払っているが、過剰や過少投与のアクシデント・インシデントの報告が絶えない。そこで、開発した投与速度管理システムの有用性について検討することを目的とした。投与速度管理システムは輸液筒の側面に指示量の滴下を表示し、点滅によって滴下速度を確認でき、目的の投与量に合わせることができるデザインとした。開発した投与速度管理システムと従来の時計を用いた輸液管理方法による人体を用いない輸液投与シミュレーションを行った。評価はクレンメを閉じた状態から輸液投与速度40・80・120ml/h±10%範囲内に調節できた時間とした。また、投与速度管理システムを用いた輸液投与速度40・80・120ml/hでの滴下の合わせやすさについて0-100mmのVisual Analogue Scaleを用いて評価を行った。結果、開発した投与速度管理システムは従来の時計を用いた調節方法に比べて輸液投与速度80・120ml/hでは有意に短時間で目的の投与量に調節できる結果であった。また、滴下の合わせやすさについては輸液投与速度120ml/hがもっとも評価が高く、輸液投与速度40ml/hでは評価がもっとも低かった。開発した投与速度管理システムは安全性・正確性の高い輸液管理に有用のあるものと示唆された。
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