高齢者の孤独感などの心理的要因は、認知症の行動・心理症状(BPSD)に影響を与えていると考えられるが、十分には解明されていない。そこで、まず60歳以上で発症した精神病症状(幻覚、妄想)を認める患者の特徴を調べたところ、独居は高齢発症の精神病症状には関与していなかった。次に、認知症患者を対象にして、孤独感とBPSDとの関係性を調べたところ、孤独感もBPSDに関与していなかった。これらから独居生活や孤独感はBPSDに関与していないことが示唆された。しかし、症例によっては孤独感がBPSDに関与しており、それに対する介入により症状が改善していたので、さらなる調査が必要である。
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