心的外傷後ストレス障害 (Posttraumatic stress disorder: PTSD)の病症発現の分子機構解明を目的に、情動反応の中枢となる偏桃体領域においてストレスホルモンCRHを発現する神経細胞の遺伝子発現制御のメカニズムや、分泌・形態観察をこれまでに計画してきた。異動完了後26年度は実際にモデルラットの作製環境整備を行い実際に作出して、分界条床核、扁桃体中心核に加え、下垂体組織についてDNAマイクロアレイ法を実施した。サンプル採取において高純度RNAの取得に難航したが現在この問題を解決し、得られたデータを元に遺伝子発現解析を進めている。 また前年の実績報告内容に沿い、PTSD病症におけるエンドカンナビノイド系に係る脳内発現を調べるために実験・コントロール群共に十分数の固定脳を揃え、現在免疫組織化学法を進めている。 直接費より旅費として充当し、第120回 日本解剖学において演題発表(PTSDモデルラットの脳内におけるストレス関連因子の発現変化)を行った。上記の実験結果を元に同モデルラットを用いる研究者や精神疾患研究に興味をもつ参加者との活発な情報・意見交換を行った。
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